これって心臓の異常? 気になる「息切れ・むくみ・だるさ」の正体
第2回 心臓からのSOSを見逃さない、症状の見極めのポイントとは
田村知子=ライター
心臓の機能が低下して、徐々に悪化し、命を脅かす「心不全」。心不全は、症状がない「隠れ心不全」を経て、「息切れ・むくみ・だるさ」の症状が表れる本格的な心不全へと進行する。だがこれらの症状は、程度の差はあれ、年齢を重ねてくれば多くの人が経験するものだ。「年のせい」なのか、心臓からのSOSなのかの判断に迷ったとき、どのような点に注意すればいいのだろうか?
『心臓を守る―忍び寄る「隠れ心不全」』 特集の内容
- 第1回高血圧があれば既に「心不全」は始まっている
- 第2回これって心臓の異常? 気になる「息切れ・むくみ・だるさ」の正体←今回
- 第3回心臓を守るには、塩分を減らし、いびきをなくし、ふくらはぎを鍛える!
「あの症状が心臓からきているものとは思わなかった」
「最近、階段を上がると息切れがする」「むくみがひどくて、体重が増えてしまった」「いつもだるくて元気が出ない」。――こうした症状を感じたとき、あなたは何が原因だと考えるだろうか。「年のせいだろう」「運動不足かな」「体力が落ちてきたのかも」と考える人が多いかもしれない。
だが、かわぐち心臓呼吸器病院副院長・循環器内科部長の佐藤直樹さんは、こう話す。「『息切れ・むくみ・だるさ』は心不全の3大症状です。こうした症状を感じたら、まず『心臓は大丈夫かな』と考えてみてください」
「実際に心不全と診断された患者さんたちに聞いてみると、症状の感じ方は人それぞれ違います。息切れといっても『息が詰まるような感じ』『どうにもならないような苦しさ』などと、それぞれ表現が異なり、『あの症状が心臓からきているものとは思わなかった』と話す人がほとんどです」(佐藤さん)
まさか心臓に原因があるとは思わず、なんとなくやりすごしているうちに突然症状が悪化し、救急搬送されて心不全と診断されるケースが非常に多いのだという。

健診で「問題なし」でも、油断は禁物
心不全は、症状が出る前の「隠れ心不全」の段階を経て、症状を伴う心不全(症候性心不全)へと進行していくことを前回ご紹介した(図1)。

症状が出現する前の、心臓にひそかに異常が表れ出しているステージBの段階で心臓の異常を見つけられれば、早期治療に結びつけられる。だが、一般的な健康診断では、なかなかそううまくはいかないという。