筋トレやストレッチで免疫は高められる? 加齢と免疫の関係…研究者の答えは
第2回 適度な運動を続ける限り、何歳になっても免疫機能は高められる!
柳本操=ライター
運動による効果は年代や性別の差なくしっかり得られます。ですから、運動習慣のない人は少しでも増やすよう心がけていただくといいと思います。
何歳になっても、免疫機能の伸びしろはあるのですね!
この記事の概要
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感染症のリスクが高まるこれからの季節、免疫機能を高めて備えておきたい。そのために有効なのが「適度な運動」だ。前回は、20分程度の中等度の運動で免疫機能の向上が見られたことを報告した。今回は屋内でできる筋トレやストレッチの効果や、年齢による運動の効果の違いの有無、冬の感染症予防対策などについて解説する。
ハイパフォーマンススポーツセンター国立スポーツ科学センタースポーツ研究部先任研究員の清水和弘さんは、「乾燥し気温の低くなるこれからの季節は、マスクや部屋の加湿で口や気道を保湿すると、粘膜のバリア機能が保たれます」と話す。また運動による免疫アップ効果は「続ければ続けるだけ」上昇し続けることも分かっているという。前回は、歩数にして7000歩(70歳代の場合)、ちょっと息が切れる程度の中等度の活動20分ほどで免疫機能が高くなる、という先生のご研究について伺いました。
そこで質問があります。読者の中には、筋トレやストレッチを日々の習慣にしている人もいますが、そのような習慣も免疫アップにはプラスに働くのでしょうか。清水和弘さん(以下、敬称略) まず、筋トレからお答えしましょう。もちろん、筋トレも効果があります。実際に、高齢者を対象に「筋トレをする群」「運動をしない群」に分かれてもらって免疫機能の指標となる唾液中のSIgA量を調べた研究があります(SIgAについては第1回を参照)。
筋トレを週2回行った群は運動をしなかった群と比較して、3カ月後にSIgA量が有意に増加したのです(グラフ)。
週2回でも効果が表れたのですね。筋トレはハードなものですか?
清水 ハードではありませんよ。太ももの前側を鍛える「レッグエクステンション」や、お尻の筋肉を鍛える「ヒップアブダクション」など、お年寄りにも簡単に実践できる、強すぎないメニューを組みました。頻度も週2回ですから、多くの人が意識すれば実践できるレベルです。
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