消化器内科医で、腸内細菌や抗加齢医学に詳しい京都府立医科大学の内藤裕二教授に、腸内細菌について教えていただく本連載。前回は、腸内細菌と病気の関係がわかってきた経緯について紹介しました。今回は、腸内細菌研究の歴史や、私たちの腸内細菌がどこからくるのかについて解説していただきます。
腸内細菌研究はいつから始まった?
医療現場で本格的に腸内細菌が注目されるようになってからはまだ日が浅いが、それ以前にも、腸内細菌が健康に関わると考えていた人は存在した。
「腸内細菌研究の祖は、19~20世紀初頭に活躍したロシアの微生物学者、イリヤ・メチニコフ博士でしょう。彼はブルガリア旅行でヨーグルトに出合い、ブルガリア人が長寿なのはヨーグルトが関係すると考えました。また、当時流行していたコレラ菌に感染する人としない人の違いが腸内細菌にあるのでは、と推測し、大腸をヨーグルトの乳酸菌で満たせば大腸菌を駆逐できると考えていたようです」(京都府立医科大学の内藤裕二教授)
コレラの感染予防に腸内細菌が役立つのではと考えた

同時期には、フランスの小児科医、アンリ・ティシェが赤ちゃんの糞便からビフィズス菌を発見している。
健康な子どもの便からビフィズス菌を分離
