今、精神医療の現場で、フィンランド発祥の新たなケアの手法「オープンダイアローグ(開かれた対話)」が注目を集めている。統合失調症の患者を、薬物治療を行わずに「対話」だけで回復に導いてきた実績があるからだ。コロナ禍では孤独を感じやすく、依存症に陥りやすくなったり、家族との距離感が変わって心身ともに疲れることもあるだろう。そこで、オープンダイアローグはどういうもので、なぜ人の心を癒すのか、またその魅力や実践方法について、オープンダイアローグを第一線で実践する筑波大学・医学医療系教授で精神科医の斎藤環さんに、3回にわたって聞いていく。