100歳以上が全国平均の3倍! 京丹後の長寿者はここがすごい
第1回 疫学調査で見えてきた健康長寿者の特徴とは
田村知子=ライター
京都の北部に位置する丹後地域は、100歳以上の「百寿者」の割合が全国平均の3倍にもなる、日本有数の長寿地域として知られている。「なぜ丹後地域には健康長寿の高齢者が多いのか?」――その秘密を探るべく、2017年にこの地域の高齢者を対象とした疫学研究が始まった。本特集では、この研究で浮き彫りになった長寿者たちの食生活、生活習慣などから、健康長寿を実現するためのヒントを探っていく。
『長寿のまち・京丹後の「健康長寿の秘訣」を探る』 特集の内容
- 第1回100歳以上が全国平均の3倍! 京丹後の長寿者はここがすごい←今回
- 第2回長寿のまち・京丹後の高齢者は、よく動く!よく話す!よく眠る!
- 第3回長生きする人が食べているものは? 百寿者の食卓の秘密を探る
世界保健機関(WHO)が発表した2021年版の世界保健統計によれば、日本は平均寿命世界一。その長寿国・日本の中でも、平均寿命が長い都道府県といえば、男性は滋賀県、長野県、京都府など。女性は長野県、岡山県、島根県などだ(表1)。

こうした「平均寿命」を基準にした長寿地域とは別に、100歳以上の「百寿者」の多さで注目を集める長寿地域がある。それが、京都府北部の丹後半島に位置する丹後地域だ。
この地域の長寿者は単に寿命が長いというだけでなく、健康で自立した生活を送る「健康長寿」を実現している人が多い。なぜ、この地域には健康長寿のお年寄りが多いのか? その秘密を探るべく2017年から始まったのが、丹後地域の中核をなす京丹後市のお年寄りを対象とした「京丹後長寿コホート研究」という疫学研究だ。本特集では、丹後地域に暮らす高齢者の生活習慣や食生活などをつぶさに調べた同研究の途中経過を基に、健康長寿を実現するためのヒントを探っていく。
第1回は、京丹後長寿コホート研究を統括する京都府立医科大学 大学院医学研究科 循環器内科学教授の的場聖明さんに、調査から見えてきた京丹後市の長寿者の特徴について聞いていく。
ギネス認定「世界一の長寿男性」が生まれ育った京丹後市
編集部 健康長寿の話題で近年、「京丹後」という地名をよく耳にします。的場先生は「京丹後長寿コホート研究」という疫学調査のプロジェクトリーダーを務めているそうですが、京丹後市はどれほどの長寿地域なのでしょうか。
的場さん(以下敬称略) 京丹後市は京都府の北の丹後地域に位置する市で、元気なお年寄りがとても多いことで知られています。80代、90代でも活動的で、「百寿者」と呼ばれる100歳以上の方も多くいます。男性の長寿世界一としてギネスブックに認定されている木村次郎右衛門さんも、2013年に満116歳で亡くなられるまで、京丹後市で暮らしていたんですよ。
