歳をとるにつれてお腹まわりがどっしりしてくるのは「内臓脂肪」が増えてきたから。内臓脂肪が多く蓄積した「内臓脂肪肥満」は様々な病気のリスクを上げることは知られている。しかし、やせていても安心はできない。日本人には、一見太っていないのに内臓や肝臓に脂肪が多いという人は少なくない。今回は“病気にならないため”の「内臓脂肪の新常識」をまとめた。まずは内臓脂肪や脂肪肝を正しく理解するところから始めよう。
『内臓脂肪の新常識』 特集の内容
- 第1回内臓脂肪だけが問題じゃない! やせていても脂肪肝ならリスク大←今回
- 第2回内臓脂肪や肝脂肪を増やす 「ダメな生活」「ダメな食べ方」
内臓脂肪は、男性でも女性でも、中高年になると徐々に増えてくる。「その量が問題とされるのは、内臓脂肪の蓄積と高血圧・高血糖・脂質代謝異常の2つ以上があるとメタボリックシンドロームとして心臓病や脳梗塞になる可能性があるからだ」と九州大学の小川佳宏教授は説明する。
内臓脂肪とは、腹腔内にある脂肪組織のことで、腸を包む腸間膜や胃、腎臓などの臓器のまわりにつく。「内臓脂肪の脂肪細胞に中性脂肪がたまって肥大化すると、脂肪組織から炎症性の物質が放出され、血糖値を下げるインスリンの効きが悪くなる」と小川教授。
内臓脂肪が増えると一般にはお腹周りが太くなるため、男性で85cm以上、女性で90cm以上という腹囲がメタボリックシンドロームの診断目安となっている。
ただし、腹囲だけを心配していればいいわけでもないようだ。日本人の場合、一見太って見えなくても実は内臓脂肪量が多いという人が少なからずいるからだ。また、「筋肉量が少なかったり、皮下脂肪や内臓脂肪への蓄積能力が低い人は、肝臓や筋肉などに脂肪がたまりやすい」と小川教授は説明する。近年の研究で、脂肪肝や筋脂肪の蓄積があると、内臓脂肪蓄積がなくてもインスリンの効きが悪くなることが明らかになり、日本人の場合は内臓脂肪よりも脂肪肝のほうがその影響が大きいこともわかってきた。
内臓脂肪の蓄積は腹囲が目安

細くても脂肪や筋肉に脂肪蓄積がある人は要注意
