困った夜間頻尿 解決のカギは「夕方の足のむくみ」解消!
第2回 夜間頻尿を引き起こす「夜間多尿」の解消法
田村知子=ライター
夜間頻尿の原因の中で最も多いのは、夜間の尿の量が増える「夜間多尿」だ。夜中にトイレに起きたときに、昼間と同じくらいの量かそれ以上の量が出ている人は要注意。今日から実践できるセルフケアで、「夜中のトイレ」の頻度を減らしていこう。
『夜間頻尿からの解放』 特集の内容
- 第1回「夜間頻尿は年のせい」とあきらめる前に知っておきたい3大原因
- 第2回困った夜間頻尿 解決のカギは「夕方の足のむくみ」解消!←今回
- 第3回夜間頻尿を減らす「薬」「睡眠」「水分・塩分」のポイント
年齢を重ねれば重ねるほど増えてくる、「夜中のトイレ」の悩み。夜、寝ている間に1回以上排尿のために起きる「夜間頻尿」がある人は、40代の約4割、50代では約6割にも上る。「1度トイレに起きると、その後なかなか寝つけない」「何度もトイレに起きてしまうので熟睡できない」といった悩みを抱えている人も多いのではないだろうか。
本特集の第1回では、「年のせい」だけでは片づけられない、夜間頻尿の3つの主な原因について解説した。その3つとは、夜間の尿の量が増える「夜間多尿」、膀胱にうまく尿がためられなくなる「蓄尿障害」、夜間によく眠れないために尿意を感じる「睡眠障害」だ。実際には、これらの原因が重複して夜間頻尿を引き起こしていることがほとんどだが、その中でも、夜間多尿になっている人は特に高齢者で多いという。
夜間頻尿の原因に夜間多尿がある場合は、行動療法(セルフケア)を行うことで、夜間頻尿の頻度を減らすことが期待できる。特集の第2回となる今回は、夜間多尿に効果的で、簡単に実践できるセルフケアを紹介する。第1回に引き続き、2020年に改訂された「夜間頻尿診療ガイドライン[第2版]」(日本排尿機能学会/日本泌尿器科学会)の作成委員長を務めた、桜十字病院泌尿器科医長(前・国立長寿医療研究センター副院長、同センター泌尿器外科部長)の吉田正貴さんに指南していただこう。
自分が「夜間多尿」かどうかを知る方法は?
前回、自身の夜間頻尿の原因がどのタイプに該当するかを推測できるセルフチェックを紹介した。その中で「『夜間多尿』が原因の場合に見られることが多い症状」の項目にチェックが入った人も多いのではないだろうか。ここで改めて、夜間多尿が疑われるポイントをおさらいしておこう。
「夜間多尿」が原因の場合に見られることが多い症状
昼間の1回分の尿の量と、夜間の1回分の尿の量を比べてみて、昼間と同じくらいの量かそれ以上の量が出ている
夕方になると足のすねやふくらはぎがむくむ。夜間に2~3回以上トイレに行くと、朝はむくみがほとんどとれている
1日に1.5リットル以上の水分をとっている(食事に含まれる水分は除く)
(監修:吉田正貴氏)
夜間多尿が疑われる症状で特に注目したいのが、1つ目の「夜間の尿の1回量」と2つ目の「足のむくみ」の項目だ。3つ目の「1日に1.5リットル以上の水分をとっている」は、いわゆる水分のとりすぎを確認するものだが、この点については、夜間多尿に限らず夜間頻尿全般に関わってくる。そのため、適切な水分摂取量や食事についての注意点などは、第3回で詳しく解説する。
1つ目に挙げた「夜間の尿の1回量」については、「昼間と夜間の1回分の尿の量がどれくらいか分からない」と思った人もいるかもしれない。セルフチェックは簡易的に原因を推測するためのものなので、おおよその感覚での比較で構わない。
ただ、より正確に夜間頻尿の原因や夜間多尿の可能性を調べるためには、「排尿日誌」をつけることが望ましいと、吉田さんは話す。排尿日誌は起床時刻、就寝時刻、トイレに行った時刻や尿の量、水分摂取量、尿漏れの有無などを記録するもので、頻尿の有無や昼夜それぞれの尿量、1回の平均排尿量などが分かり、夜間頻尿の原因をかなり正確に把握することができる。