医師が考案! 血糖値が下がる「7秒スクワット」で糖尿病を遠ざける
第1回 大きな筋肉を鍛える筋トレをゆっくり行うと糖が消費される!
二村高史=フリーライター
血糖値が高めで気になっている人は多い。そのまま何もしないでいると糖尿病につながる恐れがあり、きちんと対策をしたいところだ。糖尿病の予防といえば、食事の改善に加え、運動が重要になることはよく知られている。だが、「キツい運動はやりたくない」「忙しくて習慣的に運動できない」などの理由から二の足を踏んでしまう人も多いだろう。
そこでお勧めなのが、糖尿病の運動療法に詳しいうさみ内科の院長、宇佐見啓治さんが考案した「7秒スクワット」だ。誰でも簡単に行えて、週に2回でいいので続けやすく、確実に血糖値を下げる効果が期待できる。宇佐見さんに「7秒スクワット」のやり方を指南していただこう。
『血糖値を下げる7秒スクワット』 特集の内容
- 第1回医師が考案! 血糖値が下がる「7秒スクワット」で糖尿病を遠ざける←今回
- 第2回糖尿病予防は「速筋を鍛える」! 階段は下りのほうが効果的

「誰でも簡単に行える糖尿病対策の筋トレ」として考案された!
健康診断の検査項目の中でも、「血糖値」が高めで気になっているという中高年は多い。血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことで、血糖値が高くなると血管が傷み、心疾患のリスクが上がっていく。そして慢性的に血糖値が高くなってしまうのが「糖尿病」だ。一度、糖尿病を発症すると完治することがなく、また悪化すると「網膜症」や「腎症」などの様々な合併症のリスクが高まるのがやっかいだ。
日本で糖尿病の患者は、その予備群を合わせると2000万人に達するといわれている。厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(2019年)によると、20歳以上で「糖尿病が強く疑われる者」は男性19.7%、女性10.8%と報告されている。つまり、男性に限れば、ほぼ5人に1人という計算になる。
糖尿病を発症すると、厳しい食事制限や薬物療法が必要とされ、病気と長く付き合っていかなければならないのだが、そうした糖尿病の治療に一石を投じたのが、医療法人うさみ内科(福島県郡山市)の院長である宇佐見啓治さんだ。

宇佐見さんは糖尿病臨床医として、福島県立医科大学附属病院や福島赤十字病院に勤務していた時代から、数多くの糖尿病患者に接し、薬だけに頼ることなく血糖値を下げることができる運動療法を考案した。それが、今回紹介する「7秒スクワット」である。
糖尿病の治療は、「食事」「薬」「運動」が3本柱になる。ところが、このうち「運動」については、きちんと取り組んでいる人はそれほど多くはないのが現状だ。それには様々な理由があるが、高齢者や肥満の糖尿病患者などは、「運動しようとすると体のどこかに痛みが出てしまう」ということも少なくない。
宇佐見さんが考案した「7秒スクワット」は、それまで運動に取り組めなかった高齢者や肥満の人などでも問題なく行えて、血糖値を下げることが可能だ。「もちろん、まだ糖尿病を発症していない予備群の人や、血糖値が高めで気になるという人が予防するためにもお勧めです」(宇佐見さん)
今、糖尿病と診断されるレベルになっていなくても、血糖値が上昇してその予備群となっている人も少なくないだろう。また、最近は食後に血糖値が急上昇する「食後高血糖」のリスクも指摘されている。こうした、今後糖尿病になるリスクが高い人も、宇佐見さんがお勧めするスクワットを実践することにより、リスクを下げることも可能になるという。
また、年を取ると誰でも筋肉量が落ちていくが、その割合は下半身の大きな筋肉ほど大きいことが知られている。「7秒スクワット」を続けていけば、その筋肉量をキープしたり、逆に増やしたりすることも可能。そうすれば、将来のロコモティブシンドローム(運動器症候群)の予防にもつながる。つまり、血糖値を下げて糖尿病を予防するだけでなく、自分の脚でスタスタ歩くためにも役立つというわけだ。