がん検診、何をどう受ければいい? 素朴な疑問を一挙解決!
第1回 全般編:がんの早期発見のために知っておきたい基本を押さえよう
梅方久仁子=ライター
日本人の死因の1位である「がん」。この病気で命を落とさないためには、食生活の工夫や運動、禁煙などによって「かかるリスク」を下げることに加え、「早期に発見し、早期に治療する」ことが非常に重要だ。がん検診や人間ドックは、コロナ禍にあって後回しになりがちだが、必要な検診をきちんと受けていたかどうかが、のちに運命を大きく分けることにもなりかねない。本特集では、どんな検診をどのように受ければいいのか、がんの早期発見に必要となる基礎知識を「素朴な疑問」の形で整理していく。
『がんの早期発見 素朴な疑問に答える』 特集の内容
- 第1回がん検診、何をどう受ければいい? 素朴な疑問を一挙解決!←今回
- 第2回胃がん検診、「バリウムより内視鏡」の最大の理由とは
- 第3回死亡率1位の肺がん、早期発見は胸部レントゲンだけでは不十分?
職場の健康診断、自治体のがん検診、人間ドック…何がどう違う?
日本人の2人に1人が、一生のうちに一度はがんにかかるといわれている。平均寿命が延び、超高齢社会を迎える中、がんは日本人の死因の不動の第1位を占めており、この恐ろしい病気をできることなら避けて通りたいと思う人は多いだろう。だが幸いにも、医学の進歩のおかげで、今は早期発見・早期治療をすれば完治させられるがんが増えてきた。
そこで重要になってくるのが、いかにがんを早く見つけるかだ。多くのがんは、自覚症状が出てから発見されても、その時点でかなりステージ(がんの進展の段階)が進んでしまっており、早期に発見した場合と比べると生存率は落ちてしまう。早期発見のためには、自覚症状がない段階でさまざまな“網”を投げ、体の中に潜むがんを見つけ出す必要がある。
現在、日本には、公費で受けられる「がん検診」が5種類ある。そのほかにも、職場の健康診断や人間ドックなどで、がんの発見が可能な検査を受けるチャンスが用意されている。だが、そもそもがん検診にはどんな種類があるのか、人間ドックとどう違うのか、自分はどの検査をどう選んで受ければよいのか、そうした事柄を理解している人はまだまだ少ないのではないだろうか。
例えば、胃がん検診。一昔前までは、胃がん検診にはバリウムを使った胃のX線検査が定番だった。まずいバリウムを飲んで、検査台の上で左右に回転させられた経験のある人も多いだろう。だが近年は、バリウム検査の代わりに胃内視鏡検査(胃カメラ)を受けられる自治体が増えてきている。では、バリウム検査はもはや胃がんの発見において無意味なのだろうか? もし胃がんの原因とされているピロリ菌が陰性なら、そもそも胃がん検診は不要なのだろうか?…など、素朴な疑問は尽きない。
そこで本特集では、がん検診の実情に詳しく、『医者がマンガで教える 日本一まっとうながん検診の受け方、使い方』(日経BP)の著者でもある、近藤しんたろうクリニック院長の近藤慎太郎氏に、がんを早期発見するために知っておきたい、さまざまな疑問を聞いていく。
第1回は、がん検診全体についての素朴な疑問から始めよう。
本特集で取り上げる、がんの早期発見にまつわる素朴な疑問
第1回 全般編
1
職場の健康診断、自治体のがん検診、人間ドックはどう違う?
2
自治体で実施する5つの検診は必ず受けたほうがよい?
3
人間ドックなどで受けておいたほうがいい検診は?
4
毎年がん検診を受けれていれば、絶対安心?
5
がん検診はたくさん受ければ受けるほどいい?
6
がんは早期発見すればするほどよい?
7
がん遺伝子の検査は受けたほうがよい?
8
80歳、90歳になってもがん検診を受けるべき?
9
がん検診や人間ドックの施設はどうやって選べばいい?
第2回 胃がん・食道がん・大腸がん編
1
胃がん検診で、胃内視鏡とバリウム検査はどちらがいい?
2
胃内視鏡、鼻から入れるタイプと口から入れるタイプの違いは?
3
胃がん検診ではピロリ菌の検査も同時に受けたほうがよい?
4
ピロリ菌が陰性なら胃がん検診は受けなくても大丈夫?
5
食道がんは、内視鏡検査以外に見つける方法はあるの?
6
便潜血検査って本当に大腸がんの早期発見に役立っているの?
7
大腸内視鏡も定期的に受けたほうがよい?
8
大腸に見つかったポリープは全部取るべき?
第3回 肺がん・膵臓がん・前立腺がん・子宮頸がん・乳がん・肝臓がん編
1
肺がんの早期発見は、胸部X線検査だけでは不十分?
2
膵臓がんはどうすれば早期発見できるの?
3
前立腺がんのPSA検査は受けたほうがよい?
4
子宮頸がん:HPVの感染の有無は調べたほうがいいの?
5
HPVワクチンを受けていても子宮頸がん検診は必要?
6
乳がんはマンモグラフィで「精密検査の必要なし」なら安心?
7
肝臓がんは、肝炎ウイルスに感染していなければ心配いらない?
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