名医が勧める「男性ホルモンを上げる食事」はズバリこれ!
第3回 キャッチボールやマインドフルネス(瞑想)も効果アリ
伊藤和弘=ライター
男性ホルモンはストレスや生活習慣の影響を受けやすい。男性ホルモンが低下し、男性更年期障害の症状が見られた場合でも、生活習慣の改善によって男性ホルモンが回復することも多い。それでは、生活習慣といえば、食事、運動、睡眠が基本だが、どのような食事や運動が効果的だろうか? 順天堂大学大学院医学研究科・泌尿器外科学教授で日本Men’s Health医学会理事長も務める堀江重郎さんに解説していただこう。
「男性ホルモン」のパワー 特集の内容
- 第1回コロナ禍で男性ホルモンが低下? 名医が教えるセルフチェック法とは
- 第2回男性ホルモン低下が認知症や生活習慣病のリスクに そのメカニズムとは?
- 第3回名医が勧める「男性ホルモンを上げる食事」はズバリこれ!←今回

長引くコロナ禍によって、「男性更年期障害」の傾向が見られる男性が増えている――そう話すのは、順天堂大学大学院医学研究科・泌尿器外科学教授で日本Men’s Health医学会理事長も務める堀江重郎さんだ。
主な男性ホルモンであるテストステロンは、“社会性のホルモン”とも呼ばれ、人に会う機会が減り、引きこもりがちになると、分泌が減ってくる。
前回、テストステロンが低下することによって、筋肉が減り、体脂肪が増え、メタボリックシンドロームにつながるほか、動脈硬化や認知症のリスクが上がることについても説明した。メンタル面への影響もあり、意欲が衰え、抑うつ状態になってしまうこともある。
テストステロンは生活習慣の影響を受けやすいが、逆に言えば、生活習慣の改善で再び分泌を増やすことだってできる。そこで最終回となる今回は、「男性ホルモンを増やし、ハツラツとした毎日を取り戻す生活習慣」を、堀江さんに教えていただこう。
たんぱく質、ビタミンB群をしっかりとろう
生活習慣を見直すためには、何よりバランスの取れた食事をとる必要がある。テストステロンの分泌が減ったことで男性更年期障害の症状が出ているのだから、「テストステロンの分泌を増やす食材」をとにかくとればいいと思うかもしれないが、それでは栄養に偏りが生じてしまい、体調を崩す原因となる。
堀江さんは、意外と不足しがちな、たんぱく質とビタミンB群を意識してとることが大切だと言う。
男性更年期障害にならないために意識してとりたい栄養素
- たんぱく質 …… 不足するとドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質が減りうつ症状につながる
- ビタミンB群 …… 不足すると疲労や肩こり、筋肉痛につながり、気分が落ち込むなどの症状に
食事からとったたんぱく質は、体内でアミノ酸に分解され、様々なものの原料となる。その中には、快感をもたらし意欲を起こさせるドーパミンや、精神を安定させたり睡眠リズムを整えるセロトニンなどのホルモンも含まれる。しかも、ドーパミンの原料となるチロシンや、セロトニンの原料となるトリプトファンは、体内で作ることができず、食事からしかとることができない「必須アミノ酸」だ。
「食事でたんぱく質をきちんととらないと、神経伝達物質であるドーパミンやセロトニンなどが不足し、抑うつの症状につながる場合があります。たんぱく質をしっかりとることは、男性更年期障害に陥らないベースとして重要なのです」(堀江さん)