つらい肩こりを解消する4つの自重ストレッチ 「しっかり30秒」がカギ
第3回 肩周りと肩甲骨周りの筋肉を伸ばし、肩こりを治そう
伊藤和弘=ライター
腕などの筋力を使わずに、自分の体重(自重)を利用して筋肉を伸ばす自重ストレッチは、全身の力を抜いてリラックスした状態で行うことができ、痛みも少ないため、体が硬い人にも適したストレッチだ。それ自体が手軽な運動になるだけでなく、体の左右差や動きの悪さを改善し、ひざや腰の痛みやケガ、肩こりなどを予防・解消する効果があるとなれば、試してみない手はない。前回の「腰痛」編に続き、今回は「肩こり」編をお届けしよう。
重力で楽に“伸ばされる” !「自重ストレッチ」で体をほぐす 特集の内容
- 第1回体が硬い人は血管も硬い!「自重ストレッチ」で血管若返り、腰痛・肩こり予防
- 第2回体重をかけて30秒キープ! 5つの「自重ストレッチ」で腰痛予防
- 第3回つらい肩こりを解消する4つの自重ストレッチ 「しっかり30秒」がカギ←今回
筋肉を柔らかくし、関節の動きを滑らかにして可動域を広げる効果のあるストレッチは、それ自体が軽い運動になるだけでなく、血流を改善して血糖値を下げるなどの効果も期待できる。
一般的なストレッチは、腕で脚を抱えたり引っ張ったりと、体の一部の筋力を使って筋肉を伸ばすことが多い。それに対して、パーソナルトレーナーでCALADA LAB.(カラダラボ)代表を務める比嘉一雄さんが勧める「自重ストレッチ」は、重力を上手に使うストレッチ。力で伸ばすのではなく、自分の体重で筋肉が自然に“伸ばされる”ようにするため、脱力した状態で筋肉が伸びやすいのが特徴だ。伸ばされた筋肉が縮もうとする「伸張反射」も起こりにくいため、体が硬い人に起こりがちなピリピリとした痛みも少ない。
自重ストレッチのメリットは、第1回で詳しくご紹介したように、(1)体重を利用するので筋肉をしっかり伸ばせる(2)力を入れないので全身を脱力して伸ばせる(3)痛みが起こりにくい(4)伸ばした姿勢を長時間キープできる――の4つ。今回は、前回の「腰痛」編に続き、「肩こり」を予防する自重ストレッチのやり方を解説しよう。
肩周りと肩甲骨周りの筋肉を伸ばし、肩こりを治す
腰痛と同じく、肩こりも多くの人が悩んでいる症状だ。実際、2019年の「国民生活基礎調査」によると、日本人が悩んでいる「病気やケガの自覚症状」のツートップが肩こりと腰痛だった。男性では1位が腰痛で2位が肩こり、女性では1位が肩こりで2位が腰痛となっている。特に今年はコロナ禍でテレワークが普及し、運動不足と長時間のデスクワークから肩こりがひどくなっている人も多いのではないだろうか。

「肩こりにはさまざまな原因がありますが、肩周りや肩甲骨周りをほぐしておくことで、ある程度の予防は可能です。肩周りと肩甲骨周りのストレッチで、筋肉の緊張をしっかり解いておきましょう」(比嘉さん)
肩こり予防のために伸ばすべき筋肉は、首から背中にかけて広がる僧帽筋、わきの下から背中の下部にかけて広がる広背筋、肩を覆っている三角筋だ。今回はこれらの筋肉に対応する4種類の自重ストレッチを比嘉さんに紹介していただこう。
最大のポイントは「30秒キープ」!
前回も触れた通り、自重ストレッチを行うタイミングは筋肉が温まって伸びやすくなっている運動の直後がベスト。運動の習慣がない人は、体が温まっている風呂上がりなどに行おう。なお、起床直後は体温が低く、筋肉が伸びにくいので避けたほうがいい。
最大のポイントは、伸ばした状態を「30秒キープ」することだ。30秒間伸ばし続けることで、伸張反射が弱まり、体が柔らかくなっていく。その際、副交感神経を優位にして筋肉が伸びやすくなるように、長く息を吐くことを心がけ、呼吸を止めないように注意しよう。
実際にやってみると30秒は長く感じられるかもしれない。手持ち無沙汰に感じる場合は、テレビを見たり音楽を聴いたりしながら、リラックスして伸ばしていこう(ただしテレビを見る際は、首の向きが変わってしまわないよう注意しよう)。
以下にご紹介する4種目の自重ストレッチを、1日に1~2セット、できれば毎日、最低でも3日に1回は続けてみよう。肩こりが軽くなっていくことを感じられるはずだ。
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