朝とれば昼食の血糖値も抑制 ご飯派もパン派も全粒穀物を
腸で発酵を促す食物繊維を豊富に含む全粒穀物の底力(下)
柳本操=ライター
日々コンスタントにとることによって、内臓脂肪減少やコレステロール抑制などのメタボ改善効果が得られる全粒穀物。もっと全粒穀物をとろう、と決めたあなたにはぜひ朝食での摂取をお勧めしたい。朝食で全粒穀物をとると、昼食での血糖値上昇も抑える効果が期待できるからだ。最終回となる今回は、朝食で全粒穀物をとるメリット、そして朝食ご飯派・パン派の全粒穀物の取り入れ方も紹介しよう。さらに、全粒穀物と組み合わせたい「おかず」についても見ていこう。

大麦を朝食に。昼食でも血糖値が抑えられる
第1回、第2回と、全粒穀物の健康効果についてお伝えしてきた。今回は、どんな全粒穀物を選び、どのぐらいを目標にとればよいかについて聞いていこう。大妻女子大学家政学部の青江誠一郎教授は、「まずは朝食の主食を全粒穀物に置き換えましょう。昼食でセカンドミール効果が得られます」とアドバイスする。
「セカンドミール効果」とは、1982年にトロント大学のジェンキンス博士によって発表された概念で、最初にとる食事(ファーストミール)が、次の食事(セカンドミール)の後の血糖値に影響を与えて血糖値が抑制されることを言う。
前回記事で紹介したように、内臓脂肪や腹囲の減少、コレステロール抑制などメタボ解消に役立つことが日本人で確認されているのが大麦だが、この大麦を配合したご飯でも、セカンドミール効果が確認されている(下グラフ)。

青江教授は、大麦のセカンドミール効果のメカニズムを以下のように説明する。
朝食(1食目)
大麦に含まれる粘性のあるβ-グルカンが胃や腸をゆっくり通過することによって食物や、穀物そのものに含まれる糖の吸収を抑える

昼食(2食目)
大腸でβ-グルカンをエサにした腸内有用菌が短鎖脂肪酸をつくる。その短鎖脂肪酸が腸管を刺激し、腸管ホルモンの「GLP-1」がインスリン分泌を促すことで、昼食に通常の食事(糖質50gを含む食事)をとっても血糖値の上昇が緩やかになる
「血糖値の上昇が抑えられるのはもちろん、朝食時に全粒穀物をとれば、満腹感が高まるために、昼食の食べ過ぎも抑えられます」(青江教授)
同様に2020年には、健康な日本人を対象に、大麦粉パン(β-グルカン2.5gを含む)によっても同様にセカンドミール効果が得られることが確認されている(*1)。
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