足の裏に激痛が走る「足底筋膜炎」、早く治す体操はコレ!
第3回 運動不足や激しい運動、悪い姿勢…さまざまな要因が足裏の痛みを招く
田中美香=医療ジャーナリスト
ステイホームやテレワークでたまった運動不足を解消しようにも、足が痛くて運動できない…。そんな「足の痛み」の正体と解消法を解説する本特集。今回は、足の裏の激痛を伴う「足底筋膜炎」を取り上げる。足底筋膜炎は、姿勢の崩れや激しい運動など、さまざまな原因から起こるが、中高年に多いのは運動不足からくるパターンだ。足底筋膜炎に効くセルフケアについて、引き続き、清水整形外科クリニック院長の清水伸一さんに教えてもらおう。
悪い姿勢に運動不足…コロナ禍の弊害は「足の裏」にまで及ぶ
朝起きて最初の一歩を踏み出したとき、あるいは運動したとき、足の裏に激痛が走る「足底筋膜炎(足底腱膜炎)」。足のかかとから指の付け根にかけて広がる筋肉を覆う足底筋膜(足底腱膜)が炎症・断裂を起こす病気だ(図1)。かかとを押したり、長時間立ったりすると足の裏が痛み、つらくて歩けないこともある。

清水整形外科クリニック(さいたま市)院長の清水伸一さんは、「コロナ禍でステイホーム、テレワークが半年余りも続いたこの秋、足底筋膜炎を発症する人が増える可能性があります」と指摘する。
その原因の1つが、体の重心が本来の位置からずれ、背骨の自然なS字カーブが崩れた「悪い姿勢」だ。その背景には、家でパソコンやスマートフォンに向かう時間が長くなり、前かがみ姿勢が常態化したことが影響しているという。
だが、悪い姿勢から肩こりや腰痛を起こすのは理解できるとして、なぜ足の裏にまで痛みが出るのだろうか。
「S字カーブが保たれていると、足の『親指・小指・かかと』の3点が体を支え、足の裏の重心は正しい位置を保つことができます。図2‐左のように土踏まずのアーチ構造がクッションとなり、体全体の荷重が吸収・分散されるのです。しかし、前かがみの姿勢では重心がつま先側にずれ、足の裏の接地面積が広がって扁平足になります(図2‐右)。アーチ構造がつぶれて足底筋膜にかかる負担が増すので、痛みが出てくるのです」(清水さん)

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