まさか自分? うつの私、リワークプログラムに出合う
第1回 初めて知った復職支援のプログラム
ふくいひろえ=文
五十嵐所長のコメント
復職しても、また症状が出て、再休職してしまう
ふくいさんが初めて当院を受診されたとき、多くの患者さんがそうであるように、「なぜこのプログラムを受けなければならないのか、分からない」という様子でした。
憂うつ感があって、うつと診断され、会社に行けなくなったら休職することになりますが、病気自体は、入院が必要なほど重くはない。軽い人がほとんどです。
私も最初のうちは、ふくいさんのように会社を休職して当院を受診される患者さんの多くは、軽いから治りやすいのだろうと思っていました。ところが、会社を休んで薬を飲んで症状が良くなっても、復職して働き始めると、また症状が出てきてしまうのです。
ずっと服薬を続けていても、再休職してしまう人が多いという状況に驚きました。
治すのが難しいのではなく、何をもって「治った」とするのか。
そしてそれが、どの時点なのか。
これが全然分からないということが課題でした。
結局、「本当に病気が治っているのか、働ける状態になっているのかは、実際に働いてみないと分からない」ということが分かった、という状況でした。
病気の本人にも分からない。主治医にも分からない。もちろん、会社にも分からない。
そういうなかで復職させなければならない。うまくいかなければ再休職を繰り返していくことになります。そうすると、どんどん治りにくくなってしまいかねない。そうした経緯から、通勤の練習も兼ねたリワークプログラムを考えたのです。
プログラム終了までに最低半年必要だということも、ここ数年で経験上分かってきたことで、最初からこのくらいと分かっていたわけではありません。
当初は、3カ月程度で復職した人もいます。そうやって成功と失敗を繰り返しながら、プログラムを工夫してきた結果、「最低半年は必要」と分かったということです。
もちろん、もっと長くかかる人もいます。
次回は、「リワークプログラム」とは実際どんなものなのか、五十嵐先生に伺います。
この記事は、日経BP社「うつのリワークプログラム」の内容を再構成したものです。 書籍「うつのリワークプログラム」 ご存じですか? 職場「うつ」の再発を予防する「復職支援プログラム」のことを。復職3年後の就労継続率70%を誇るその内容を、システム発案者の医師と元患者が詳しく紹介!
五十嵐良雄(著)・ふくいひろえ(文) |

