「うがい」本で話題、気鋭の歯科医が提言する「ふきとり歯みがき」。歯磨きの方法が悪いと、落としきれない汚れが歯周病のもとになったり、磨きすぎが虫歯や歯茎下がりを招いたりすることも。「ふきとり歯みがき」なら、歯や歯茎をいたわりながら、隅々まで汚れを落とせる。100年使える歯を目指そう。

「長年続けてきた間違った歯磨きが歯や歯茎を傷めたり、落としきれていない汚れが口臭や歯周病の原因になっていることに気づいてほしい」と言うのは、歯学博士の照山裕子さん。
歯ブラシをグーで握ってゴシゴシ音を立てて磨いていたり、1カ月しないうちに歯ブラシの毛先が開いたりするのは、オーバーブラッシング(磨きすぎ)の状態。「磨きすぎは歯茎下がりを招いてしまう。歯茎は一度下がってしまうと、元には戻らないうえ、歯の根元が露出し虫歯になる根面う蝕(こんめんうしょく、大人虫歯)の原因にもなる」と照山さん。

また、汚れがたまりやすい歯と歯の間や裏側を磨ききれていないと、「ぬめり汚れが歯石となり、口臭や歯周病の原因に。磨きすぎと磨かなさすぎ、いずれも問題」と照山さん。
照山さんが「歯や歯茎を傷めず、細かい部分の汚れや黄ばみも取れる」と薦めるのが、「ふきとり歯みがき」だ。「歯を傷めないというだけでなく、薄い紙を指に包んで歯を磨くことで、自分の歯の特徴を把握できるのがメリット。ザラザラと汚れが残った場所や、歯並びの悪い部分など、自分のリスクポイントを知ることで、上手に汚れを落とせるようになる」(照山さん)。
( 照山医師が考える )
歯の若さを保つ! 1日の歯のケア
朝
やわらか歯みがき ⇒ 高速ぶくぶくうがい
昼
(フロス)⇒ 高速ぶくぶくうがい
夜
フロス ⇒ ふきとり歯みがき ⇒ 高速ぶくぶくうがい
「1日3回のゴシゴシ磨きは、逆に歯の老化の原因に。朝はやわらかな歯ブラシで、昼は高速ぶくぶくうがいで汚れを落とす程度が理想的。ただし夜は徹底的に汚れを落とすことが大切」(照山さん)。
「食べかすは8~12時間かけて、さらに落ちにくいぬめり汚れとなり、2~3日で歯石になる。つまり、本来は1日1回、隅々まできれいにすれば歯のトラブルは予防できるということ」と照山さん。とはいえ、食べかすの詰まりや口臭も気になるため、朝昼も適度なケアが必要だ。
朝は食後に歯ブラシ磨き。やわらかいタイプの歯ブラシを使うのがポイントだ。「ペングリップで持ち、一つ一つの歯をなでるように磨いて。実は日本人は、世界一歯磨き習慣があるのに歯周病が多く、正しい歯磨きができているのは10人に1人ほどしかいない」と照山さん。
昼食後は、フロスで歯の隙間の食べかすを取ってから、「高速ぶくぶくうがい」を。「洗車をするように、歯に強い水圧をかけることで汚れを落とす。当てる部分のほっぺを膨らませて、ぶくぶくと音を立てながら1秒間に3回の速さで行って」(照山さん)。
間食した後もこのうがいで、汚れを洗い流すのがお薦めだ。「高速のうがいで口の回りの筋肉を刺激することで、顔のむくみが取れ、ほうれい線が薄くなるといったうれしい効果も期待できる」(照山さん)。
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