ストレスなく減塩する秘訣とは? 食事で高血圧予防
第3回 「男性1日7.5g未満、女性1日6.5g未満」が新たな目標に
村山真由美=ライター
私たち日本人に必要な食事のあり方を示す、「日本人の食事摂取基準」の最新版(2020年版)のポイントを解説する本特集。第1回、第2回では「高齢者の低栄養・フレイル予防」と関係が深いたんぱく質やビタミンDについて解説した。今回は「若いうちからの生活習慣病予防」と関係が深い「塩分」(食塩相当量)とコレステロールの正しいとり方について、女子栄養大学栄養生理学教授の上西一弘さんに話を聞いた。
高血圧の発症・重症化の予防に欠かせない塩分量の見直し
何歳になっても自分の足で歩き、元気で自立した生活を送るために、今、私たちの食卓のどのような点を見直していけばいいのか。日本人の「健康寿命」延伸を目指す「日本人の食事摂取基準」(以下、食事摂取基準)の今回の改定で、「高齢者の低栄養・フレイル予防」とともに掲げられたのは「若いうちからの生活習慣病予防」だ。
最新の2020年版では、前回の2015年版と比べて、成人の1日の食塩の目標量が0.5gずつ引き下げられ、男性が7.5g未満、女性が6.5g未満になった(*1)。ご存じのように、塩分のとりすぎは高血圧の原因となる。
■2015年版
年齢 | 男性 | 女性 |
18歳以上 | 8.0g未満 | 7.0g未満 |
![]() |
■2020年版
年齢 | 男性 | 女性 |
18歳以上 | 7.5g未満 | 6.5g未満 |
ちなみに、前々回の2010年版では男性9.0g未満、女性7.5g未満だったので、食塩摂取の目標量は改定を重ねるたびに下がっていることになる。
「人間が生きるために必要な塩分は1日2g(食塩相当量)ほどといわれています。あまり知られていませんが、塩分は肉、魚、野菜、果物などの食品にも含まれていて、これらから1日2gほど摂取しています。つまり、人間は調味料をとらなくても健康に生きていけるのです」(上西さん)
日本人が調味料から摂取している食塩量は、 “生きるために必要な量”ではなく、“食事としておいしく感じるための量” ということだ。究極の目標は1日2g(調味料の使用なし)だが、それは長年培われた日本人の食習慣や味覚に照らすと「食事の楽しみ」を奪うことにほかならず、まず無理な注文だろう。

「WHO(世界保健機関)が推奨している食塩摂取量は1日5g未満です。一方、厚生労働省の『国民健康・栄養調査』によると、近年、日本人が実際に摂取している平均量は、男性約11g、女性約9gなので、この2つの間をとって目標値は定められています。日本人の食塩摂取量は徐々に減ってきているので、それに合わせて、今回の改定では目標量を0.5gずつ下げることになりました」(上西さん)
この記事の概要
