コロナで体力低下? 単なる運動不足より深刻なその正体
第1回 体重が1キロ増えただけでも体が重い理由は「筋力の低下」!?
二村高史=フリーライター
この数カ月、コロナ禍で外出自粛を余儀なくされたうえ、テレワークが普及したことで通勤の回数まで減り、多くの人が運動不足に陥る事態となった。久しぶりに出勤や外出をしたり、再開したジムで運動した際に、体が重く、「体力が落ちたな…」と痛感している人も多いのではないだろうか。そこで、フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さんに、体力を取り戻す運動を教えてもらった。
中野さんは、体力とは、「筋力」「心肺持久力」「筋肉の柔軟性」の3つを合わせた総合力だと説明する。そして、今多くの人が陥っているように、筋肉量が減る一方で体重が増えたときに落ちた体力を取り戻すには、特に筋トレが重要だという。本特集では、筋力を取り戻すための効果的なトレーニングを紹介していこう。

久しぶりに出社して体力の低下をしみじみ実感
新型コロナでステイホームを余儀なくされ、「体力が落ちた」と感じている人は多いことだろう。体力の衰えを痛切に感じるのは、テレワークが続いた後に久しぶりに出社や外出をしたときだ。少し歩いただけで足が重くなり、特に階段がつらい。行って帰ってくるだけで、もうくたくた。
再開したジムに行き、トレッドミル(ルームランナー)の上で軽く走ろうと思っても、すぐ息が上がってしまい、早々に切り上げた、などということも。
「こんなに体力が落ちているなんて、どこか具合が悪いのか?」と心配になる人も多いだろう。
そんな体力低下の原因は、言うまでもなく家に閉じこもって体を動かさなかったことにある。この状況をフィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さんはこう指摘する。
「私の知人には、1日に200歩程度しか歩かなかったという人もいました。これでは入院患者と同じです。いや、病院ならば、1日に何度か病室を出てトイレに行って帰るだけでも歩数は増えます。それを考えると、1日200歩というのは、ほぼ寝たきりで過ごしている患者さんと同じ。そんな運動量では体力が落ちるのは当然です」(中野さん)
中野さんは、卓球の福原愛さん、テニスの伊達公子さん、青山学院大学の駅伝チームといったトップアスリートを指導するだけでなく、一般人の生活習慣病やロコモティブシンドローム(通称ロコモ、運動器症候群)対策のための運動指導も行っている。
筋肉というものは、動かさないでいると、それを構成している筋線維がどんどんやせ細ってしまう。すると、全体の筋肉量が減って、全身の筋力低下や身体機能の低下をもたらしてしまうのだ。