都道府県をまたぐ移動が全面解除され、解放感を味わいつつも、「第2波」は心配。そんなあなたに、正しく恐れ、適切に予防するための新型コロナウイルス感染症の最新情報を2回に分けてお届けします。

新型コロナウイルスの感染拡大は、首都圏などで予断を許さないものの、ひとまず落ち着きつつある。今回の流行において特筆すべきは、最前線の医療関係者が研究成果をいち早く世界中と共有すべく公開していったこと。医療専門誌でも査読前の論文をオンライン公開する動きが加速し、根本的治療薬がない中での感染拡大防止に多いに役立った。
一方、情報があふれ何が正しいのかがわかりづらくなったという声も。そんな不満を払拭する、最新データに基づく対策法を紹介していこう。
予想を下回る低い感染率 季節性のカゼが関与?!
6月16日に厚生労働省が発表した東京、大阪、宮城での抗体検査の結果報告によると、国内での抗体保有率は予想に比べはるかに低かった。もちろんクラスター対策が功を奏した可能性もあるが、「日本に限らず、アジア全般で欧米に比べて重症化する感染者が少ない」と大阪大学大学院医学系研究科の熊ノ郷淳教授。
「新型コロナウイルスは、季節性感冒を引き起こすコロナウイルスと約50%、2003年に台湾で広がったSARSウイルスと約75%遺伝子が同じ。こういった過去にアジアで流行したカゼウイルスの中に、新型コロナに有効な免疫を付けたものがあった可能性も」と推測する。
今後、暑くなるにつれ、熱中症のリスクが高まり、秋以降はインフルエンザが流行する可能性も出てくる。症状での新型コロナ感染症との見分け方はあるのだろうか。
東京医科歯科大学医学部附属病院呼吸器内科の岡本師助教は、「熱中症はだるさや食欲の低下、発熱を伴うことが多い。インフルエンザは急な高熱が特徴。周囲で感染が広がっている場合はインフルの可能性も高い。ただし、自己診断で決めつけるのは危険。体調を崩して医療機関を受診する際には、周囲の状況もかんがみて冷静に症状を伝えて」と話す。
