メタボ健診でよくある「深刻な誤解」とは?
ほんとは怖い 健康診断のC・D判定(第5回)
近藤慎太郎=医師兼マンガ家
「忙しかったし」「まだ元気だし」――。こんな言い訳をしつつ、健康診断のC判定やD判定を放置していませんか。そのままにしていると、「糖尿病」「高血圧」「脂質異常症」「痛風」などに…。本連載ではこれらの病気が起こるメカニズムや症状、予防法などを、マンガも描ける医師・近藤慎太郎さんに解説していただきます。
今回は、メタボかどうかの診断基準と、メタボにかかわるさまざまな誤解について、近藤さんに解説していただきます。
総コレステロールの値に「意味はない」は本当か
今回は、メタボ健診についてよくある、そして深刻な誤解についてお話しします。
「脂質」は様々な形で体内に存在していますが、健診において重要な指標は次の3つです。
(1)
LDLコレステロール(悪玉コレステロール)以下、LDL
(2)
HDLコレステロール(善玉コレステロール)以下、HDL
(3)
中性脂肪
(1)のLDLと(3)の中性脂肪は、値が「高く」なるほど動脈硬化のリスクが上がります。一方、(2)のHDLは良いコレステロールなので、値が「低く」なればなるほど動脈硬化のリスクが上がります。

脂質の異常については、これまでは「高脂血症」という言葉が使われてきましたが、低いHDLもリスクだということ(つまり「高」脂血症ではないこと)も考慮に入れ、最近は「脂質異常症」と呼ばれています。
そしてメタボの脂質における基準では、「HDL」と「中性脂肪」だけが取り入れてあり、「LDL」やよく耳にする「総コレステロール」の値は入っていません。
そもそも「総コレステロール」は、「LDL+HDL+その他」の総和です。このことから、総コレステロールが高いだけだと、LDLが高いのか、HDLが高いのかがよく分からないので参考にしていません。
これをもってして「総コレステロールには意味がない、健康には関係がない」とする記事をたまに目にしますが、それは全くの誤解です。
総コレステロールが高いだけだと判断がつきかねるという話であって、その原因がLDLの高値であれば、健康面においては重大な問題なのです。