健康寿命を延ばすためには、どの病気に注意すべき?
ほんとは怖い 健康診断のC・D判定(第2回)
近藤慎太郎=医師兼マンガ家
「忙しかったし」「まだ元気だし」――。こんな言い訳をしつつ、健康診断のC判定やD判定を放置していませんか。そのままにしていると、「糖尿病」「高血圧」「脂質異常症」「痛風」などに…。本連載ではこれらの病気が起こるメカニズムや症状、予防法などを、マンガも描ける医師・近藤慎太郎さんに解説していただきます。
今回は、「健康寿命」の日本の現状と、健康寿命を延ばすためには、どんな病気に注意すべきなのかを見ていきましょう。
気になる「自分の余命」はあと何年?
前回、「平均寿命」の話をしましたが、平均寿命とは「その年に生まれた子ども」が平均であとこれぐらいの年数生きますよ、という数字です。
例えば2016年の男性の平均寿命は、平成28年簡易生命表によると「80.98歳」になります。これはあくまで「2016年生まれの男性がそれぐらい生きるだろう」という話です。
よく勘違いされるのですが、例えば今50歳の人があと約30年(80.98歳引く50歳で30.98年)生きますよ、という話ではありません。
「50歳の人が平均であとどれぐらい生きるか」というのは「平均余命」で調べます。
平均寿命と平均余命が違うのは、今50歳の人が過ごした50年間と、今0歳の人が過ごすであろう50年間では、プラスに作用するかマイナスに作用するかはさておき、環境、食生活、医療、科学などの諸要素が全く違うからです。

単に平均寿命が延びても幸せとはいえない?
長く生きる場合、その中身が大切になってきます。単に長く生きただけでなく、「健康でやりたいことを実現できる期間がどれぐらいあったのか」ということが重要になってくるわけです。それを表す概念が「健康寿命」です。
健康寿命は「日常生活に制限のない期間」のことを指します。ここでの「制限のない期間」を厳密に定義することはなかなか難しいのですが、大ざっぱに言えば、「要介護状態ではない」ということです。
この「健康寿命」と「平均寿命」は、必ずしもパラレルの関係にはありません。例えば長野県の平均寿命は、男女ともに非常に高いことが知られていますが、健康寿命はどうでしょうか。