骨を強くする最強の組み合わせは、サバ缶+納豆!
第2回 カルシウムだけとっていても骨は丈夫にならない
伊藤和弘=ライター
年齢を重ねても強い足腰を保つために、骨の劣化を防ぎ、今から「骨を強くする」にはどうすればいいのか。骨がスカスカになって「骨粗しょう症」と呼ばれる状態になる前に、毎日の生活習慣で取り組むべきことはいろいろある。特集第2回は、骨を強くする「食事」の秘訣について、引き続き伊奈病院整形外科部長の石橋英明さんに解説していただこう。
努力次第で骨密度の減少は防げる!
気付かないうちに骨が弱くなっていき、ある日ちょっとしたはずみで骨折して、そのまま要介護状態に――。年齢を重ねてからそんな事態に陥ることを避けるために、40代、50代の今から私たちができることは何だろうか。
伊奈病院(埼玉県伊奈町)整形外科部長の石橋英明さんは、「骨粗しょう症になるかどうかは、成長期にどれだけ骨が増えるかと、閉経後や中高年期にどれだけ骨が減るかで決まります」と話す。骨量が減りだすのは女性が閉経後、男性は60歳くらいからだが、40代、50代のうちから骨量をできるだけ落とさない生活を続けていれば、骨粗しょう症のリスクを遠ざけることができる。
骨粗しょう症を招く危険因子は、第1回で説明した通りさまざまだ。このうち、加齢や閉経、遺伝的要因などは、残念ながら自分の努力では変えることができない。だが、努力次第でリスクを減らせるものもある。それが食事と運動だ。
今回は、このうち、骨を作るもととなる「食事」について解説していく。
骨に欠かせない栄養素は「カルシウム」だけではない
骨は皮膚や筋肉と同じく、常に生まれ変わっている。破骨(はこつ)細胞が古くなった骨を壊し(骨吸収)、骨芽(こつが)細胞が新しい骨を作っている(骨形成)。だが、必要な栄養が足りない状態では、丈夫な骨は作ることができない。石橋さんは「骨にとって特に重要な栄養素は、カルシウム、たんぱく質、ビタミンD、ビタミンKの4つです」と話す。

カルシウムが骨の材料になっていることはよく知られているが、カルシウムをたくさんとっているだけでは、強い骨はできない。骨の半分はカルシウム、もう半分はたんぱく質(主にコラーゲン)からできている。ビタミンD、ビタミンKも、カルシウムの吸収や骨への沈着に欠かせない栄養素なので、十分に摂取する必要がある。これら4つの栄養素が骨形成に果たす役割と、食事からの上手な摂取方法を、1つずつ見ていこう。