コロナで分かった認知症の新たなリスク 予防にはカラオケ・麻雀も
第3回 孤独な男性は認知症リスクが高い?
二村高史=フリーライター
認知症にならずに元気に過ごしたいというのは、誰もが願うところだ。日経Goodayでもおなじみ、認知症専門医の遠藤英俊さんによると、認知症予防の3本柱は「食事」「運動」「社会活動」だ。このうち、コロナで認知症リスクが明らかになった「一人暮らしの高齢者」が特に取り組むべきなのは、社会活動だという。

コロナで明らかになった高齢者の新たなリスクとは
前回、認知症専門医の遠藤英俊さんに、70~80代になってアルツハイマー型認知症を発症するかどうかは、40~50代から生活習慣病対策に取り組んだかどうかも影響する、ということを解説してもらった。

「40代、50代の中年期に生活習慣病をきちんと克服することが、認知症予防のためにも大切です」と語る遠藤さんは、自身も血圧が高いため、50代のころから血圧を下げる薬を飲んでいるという。
ただ、生活習慣病対策だけでは認知症は防げない。高年期(65歳超)に急にリスクが高まってしまう場合もある。「それを痛感したのは、今回の新型コロナウイルス感染症の問題です。『離れて暮らす高齢の親に、認知症の兆候が見られるのですが…』という相談をよく受けました」(遠藤さん)
新型コロナウイルス感染症の対策として移動の自粛が要請され、遠くに住む高齢の親のもとを訪ねることができなくなった。また、民生委員など、高齢者をサポートする地域の活動も制限され、孤立する一人暮らしの高齢者が続出したのだ。
「前回、お話ししたように、医学雑誌『ランセット(Lancet)』が2017年に発表した論文では、アルツハイマー型認知症の『自分次第で改善できる9つのリスク要因』として、高年期(65歳超)では、喫煙、抑うつ、運動不足、社会的孤立、糖尿病の5つが挙げられていました。外出できない一人暮らしの高齢者は、このうち社会的孤立や運動不足、抑うつなどのリスク要因を抱え込むことになります。感染症の拡大時期には、このような問題があることが明らかになりました」(遠藤さん)
遠藤さんが執筆した最新の書籍『医師が認知症予防のためにやっていること。』(日経BP)では、認知症予防の3本柱は「食事」「運動」「社会活動」となっている。高齢者の孤立を防ぐには、社会とのつながりを作る「社会活動」が重要になってくる。遠藤さんは「食事や運動に比べるとあまり注目されませんが、認知症予防において社会と接点を持つ活動に取り組むことも大切なのです」と話す。
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