日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > からだケア  > 元自衛隊心理教官が語る 新型コロナ禍を乗りきる心理作戦  > 新型コロナで「もっとしんどい状況の人もいるのに…」  > 3ページ目
印刷

元自衛隊心理教官が語る 新型コロナ禍を乗りきる心理作戦

新型コロナで「もっとしんどい状況の人もいるのに…」

自責感が増すときは、「タスク系」を自分に課さないこと

 柳本操=ライター

「タスク系、理屈系」よりも「雰囲気系」で疲れをケア

消耗を加速させないために、今心がけたいのは、「不安感情を認める」のと同じように、「疲れた自分を認める」ことでしょうか。

下園さん そうです。しかも、すぐには回復できない、と知ることです。疲れ切ったとき、人間は何もできません。できるようになるまでは時間がかかるし、ある程度疲労がたまってしまった状態となると、ゆっくりとしか回復していくことができません。

なにか、日々取り入れられる習慣はありますか?

下園さん こういったときは、「タスクを課す」ことは避けたほうがいいです。それができなかったときに、より「自責」を刺激することになるからです。

 時間があるから語学学習をしようとか、家中をきれいにしようとか、うっかり考えてしまいがちですが、こういうときは「慣れた行動」のほうが集中でき、かつ気分転換になります。いつもやっていることで、楽しく集中できることは何かな? と探してみてください。

 ゆったりと自分をケアするときには、「タスク系、理屈系」よりも「雰囲気系」、と私は言うのですが、リラックスできる、脱力できるようなことがいいのです。音楽を聴く、心地よい布団にくるまる、ペットをなでる、ごはんをよくかんで味わう。猫の癒やし動画やお笑い動画もいいですね。10分ぐらいでコンパクトにできるリフレッシュがお薦めです。

心がざわざわしたときは、紙に気持ちを書き出すのはどうでしょう。

下園さん とてもいいですね。「何が今、一番不安なのかな」と自分に問いかけてみるといいでしょう。安心できる人とディスカッションしているのと同じような感じで、浮かんでくる気持ちをどんどん書き出すのです。

じつは、書き出す、ということを先日、やってみたのです。「これまで貯金をしてこなかったから今こんなに不安なんだ」とか「気持ちが沈んで、家族の盛り上げ役ができない」とか、自責がたくさん出てきました。書き出してみて、「盛り上げ役とか特に誰も期待してないよ」と自分で突っ込みました(笑)

下園さん そういったことも、表現してみないと気づきもしないで、じわじわと自分を責めているのですから、書くことの効果はそこにあるんですよ。

 感情は、一瞬のうちに恐怖や不安といった特性のイメージを抱かせて、そのイメージから離れられなくします。抽象的には、なかなか言葉が出てこないことがあります。

 しかし、取り出して見て、洗い出してみると、「その考えは、そこまで自分を持続的に消耗させる必要がないテーマだな」と気づいたりします。一人でずっと考えるより、書くことで、人と話しているような効果が得られる。書くことには、カウンセリングと同じような効果があります。

イラスト:朝倉千夏
イラスト:朝倉千夏

 とはいえ、「今の悩みが100%解決する」というような、過大な期待はもたないこと。「まあ、たいしたことないかな、と少し思える」、「そこまで今、焦ることもないか」と思える、というふうに心のプロセスが少しだけ進むことに、効果の本質があります。そうやって感情をなだめることで、感情の勢いも、感情を抑え込もうとするエネルギーも節約できることによって、本来の冷静な思考が回りやすくなってきます

 今回お伝えしたことは、新型コロナ禍のような大きなストレス状況はもちろん、日常で疲れがたまったとき、イライラしたときなどにも共通して役立つ対処です。ぜひ、読んで「分かった気になる」だけにとどめず、行動に落とし込んで、その効果を確かめてみてくださいね。

まとめ

疲れは自責感を呼ぶ。新たなことはなるべく避けて、
慣れた日常を過ごして長期戦のエネルギー消耗を減らそう。

◇     ◇     ◇

 日経Goodayでは、6月初旬より下園壮太先生の新連載「元・陸上自衛隊心理教官が語る 人生後半戦 心のトリセツ」がスタート。人生後半戦を迎えた読者のみなさんに、さまざまな感情の取り扱い方をお伝えしていきます。ご期待ください。

(インタビュー写真:菊池くらげ)

下園壮太(しもぞの そうた)さん
心理カウンセラー
下園壮太(しもぞの そうた)さん 防衛大学校を卒業後、陸上自衛隊入隊。心理幹部として多くのカウンセリングを手がける。大事故や自殺問題への支援を元に理論を展開。NPO法人メンタルレスキュー協会理事長。『自衛隊メンタル教官が教える 50代から心を整える技術』(朝日新書)など著書多数。

先頭へ

前へ

3/3 page

新型コロナ
キーワード一覧へ

RELATED ARTICLES関連する記事

からだケアカテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 怖い病気を招く「中性脂肪」を食事・運動で徹底対策!

    健康診断でもおなじみの項目である「中性脂肪」。血液中の中性脂肪が150mg/dLを超えると、脂質異常症の1つ、「高中性脂肪血症(高トリグリセライド血症)」と見なされる。血管の老化を防ぎ、心筋梗塞や脳梗塞を遠ざけるためにも、中性脂肪が上がるのを避けなければならない。そこで、今回はやっかいな中性脂肪の正体や、食事や運動でできる鉄板の対策法を一挙紹介していく。

  • 長年の悩み「腰痛」を解消! 痛みを和らげる体操4選

    腰痛は日本人の国民病とも言える身近な症状だ。特に問題なのは、原因がはっきりしない、「なんだか知らないけど、いつの間にか…」始まってしまう「慢性腰痛」だ。長年にわたって慢性腰痛で悩む人は少なくない。そこで、今回は長引く腰痛の解消が期待できる体操を一挙紹介する。

  • 怖い緑内障 忍び寄る失明を回避するには

    緑内障は放っておくと失明を招く怖い病気だが、病気が進んでも中心部の視力は保たれるため、自分ではなかなか気づきにくい。本記事では、緑内障による失明を回避するために知っておきたい期症状の特徴や、早期発見のために必要な検査、最新治療などについてコンパクトに解説していく。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2022 Nikkei Inc. All rights reserved.