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元自衛隊心理教官が語る 新型コロナ禍を乗りきる心理作戦

新型コロナで「何を信じていいかわからない」とき

拡大していく「不安感情」の正体を知り、情報のバランスをとる

 柳本操=ライター

危機のときこそ「情報のバランスを意識」することが重要

なるべく、客観的な、正しい情報を把握したい、と思うのですが、それが難しいですね。未知のウイルスで、研究のただ中で、誰も正解がわからない状況です。

下園さん じつは、頭のいい人ほど、不安という感情に圧倒されやすいのです。レポートや論文を書くとき、書き手は深堀りして探究していきますよね。それと同じように、不安情報を掘って掘って、掘り進めてしまう。安心情報があっても、「いや、ネガティブ情報は必ずあるはずだから、その情報をつぶしていかなければ」と考えすぎて結果的に「不安情報」で頭をいっぱいにしてしまいます。

いろいろな立ち位置の意見を知るために、識者が発信している情報をあれこれフォローするうちに、疲れてしまいます。

下園さん 有事のときには、私たちは「ノアの箱舟」のように、自分だけが取り残されるのではないかという不安を抱くものです。

 本当の情報は公の機関からは流れてこないかも、と疑い、乗り遅れないために「口コミ情報」に耳を傾けるようになります。人間社会における情報は、メディアが発達する以前、何万年と、身近な人の言動による「口コミ」が主体でした。その長い歴史が、「本当の情報ほど口コミで密やかに伝達される」という感覚を、深い本能の部分に刻んでいるのです。

写真はイメージ=(c)maru123rf-123RF

 口コミの典型例がSNSです。一人ひとり、n=1のつぶやきではあっても、公よりもはるかに信頼性を持って受け取られる場合があります。情報は客観性が大切ですが、不安を求める心理が前提にあると、不安度が高いほうが「納得感」がある。現場の声で、貴重な情報ではあるものの、リアリティーがありすぎる。しかも、当事者は、伝えなければという思いが強いから、その情報には「感情」が乗っかりやすい。それらの情報を受け取り続けると、不安が雪だるま式に拡大していきます。

うまく情報とつきあうにはどうすればいいのでしょう。

下園さん 思い切って、「どっちも予言」というふうに考えるのも一つの方法です。「状況は長期間終息しないかもしれない」、あるいは「夏までには終息するだろう」。どちらも予言で、極端な話、占いと同じようなものだと達観してみるのです。

 いずれの立場も信頼性のある権威が論陣を張っているかもしれませんが、その人たちですら「どっちも起こりうる」と考えているほど、予測がつかないのが新型コロナなのです。

 もう少し、現実的なやり方もあります。「何を信じていいかわからない」という気持ちになったときは、ネガティブ方向に傾いたバランスを立て直してみるのです。

 不安でたまらなくなったら、「待てよ、反対の情報はないかな?」と探してみる。今はどうしても感情が不安情報ばかり集めたがるのだと知った上で、「肉も魚も野菜も食べよう」という意識で、情報をまんべんなく食べておく。

 私たちは、情報に触れる「回数」や「時間の長さ」で、その情報の「正しさ」を感じてしまう、という特徴があります。同じ内容の情報を何度も見ると、いつの間にかそれが「絶対に正しいこと」のように思い込んでしまう。

 危機のときには、バランス感覚がとても重要です。「その信頼性はどうなのか」とあまり突き詰めすぎずに、量のバランスをとる。そうすることで、不安の拡大を鎮めることができるかもしれません。

 不安なときの乗り切り方としては「信頼できる対象」を決めるのもいいでしょう。この人の発言に注目していこう、とか、この媒体は信頼がおけそうだ、というふうに、情報源をぐっと絞り込んで、「定点観測」するのです。

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