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元自衛隊心理教官が語る 新型コロナ禍を乗りきる心理作戦

新型コロナで「何を信じていいかわからない」とき

拡大していく「不安感情」の正体を知り、情報のバランスをとる

 柳本操=ライター

不安は「よりネガティブな情報」を選び取る

まさにコロナ禍は、命の危機を訴えかけてくる状況です。ウイルスは目に見えず、当初予測されていたよりもとても厄介な性質を持っているようです。自分が感染予防のために行っている対処がどこまで効果的かもわからない。「不安をかき立てられる」という状況が、2月からずっと続いています。

下園さん ここで、例え話をしましょう。暗闇で猛獣のうなり声が聞こえたような気がした。声の方向を見たら何かが動いた。仲間かもしれない。風の音かもしれない。しかし、楽観は禁物です。声の正体は猛獣だ、という前提で見ないと、食べられてしまうかもしれません。こういうときは、安心しきっているよりも、「悪いことが起こるかもしれない」と身をすくめておいたほうが生きる確率は確実に、高まるのです。

 私たちは、不安があるおかげで、手洗いもする、人との接触距離もとるという対処をとることができています。

 しかし、問題は、感情はすべてその人を「乗っ取る」ほどの力を持っているということ。

 ですから、不安は、本能が「まだ、対処不十分だぞ」と感じる限り、拡大していきます。 それが情報をとるときに影響をもたらすのです。

 安全な情報は見逃しても、命には関わらない。しかし、不安は見落としてはいけない。だから、私たちは不安をきっかけに情報を収集するときに、その実態はさておき、「より、ネガティブな情報を好んで選択しようとする」という性質を持っています。

 もう一つ、今の状況を見据えるときに知っておきたいのは「不安は情報によって生じるが、情報によって消える」ということです。

 「大きい獣だったよ」という情報にみんな騒ぎますが、「でも、草食だよ」という情報があると、落ち着く。ところが、あるとき誰か一人が小さい声で「でも、人も食べるかもね」とつぶやいたらどうでしょう。「人を食べるかもしれない!」という情報だけが拡大して広まるでしょう。このように、現在は、不安が拡大したり、少し小さくなったりととにかく日々忙しく、そのたびに私たちは振り回されます。楽観的な情報、悲観的な情報、いろいろあったとしても、人は「悪いことが起こる」というイメージでもって、無意識のうちに、悲観的な情報を選び取るのです。

マスク不足とか、トイレットペーパーの買い占めが起こるといった現象も、不安と切り離せないのですね。

下園さん そう。不安の本質は、「今やれ、すぐにやれ」と行動を促す感情なのに、行動と結果が見えてこない。そんなとき、人は、「とりあえず、今の自分ができること」を何かしないと安心できません。ですから、マスクを探し続ける。備蓄をしようと食糧やトイレットペーパーを買い占めに走る。また、本当の情報は隠されているのではないかと思い始め、噂が絶えず流れ、デマのような情報も流れやすくなります。歴史的にも、有事の社会ではこのようなことが繰り返されています。人間の心の本質が変わっていないからです。

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