病気のリスクを減らすには「こまめに立ち動く」ことから
第3回 ハードな運動は不要、大きな筋肉のある下半身を動かそう
梅方久仁子=ライター
「座りっぱなし」であまり動かない生活を続ければ、様々な疾病のリスクが高まり、結果的に寿命まで縮めてしまう。かといって、それを解消するために毎日1時間の運動なんて、とても無理!…。だとしたら、「座りっぱなし」にならないようにするにはどうすればいいのか。特集第3回は、「座りっぱなし」生活にならないためのコツを、引き続き早稲田大学スポーツ科学学術院教授の岡浩一朗さんに伝授してもらおう。
座ったら30分~1時間に1回、ブレイクを入れよう
「『座りっぱなし』をやめるには、まず、長時間座っていることは体に良くないと強く意識することが大切です。何かに熱中していても、ときどき『しまった、座りっぱなしだ!』と気付いたら、少し立って歩くようにしてください」と、早稲田大学スポーツ科学学術院教授の岡浩一朗さんは言う。
「具体的にどのくらいの時間座りっぱなしだといけないのか」「何分に一度立ち歩けば病気になるリスクが減るのか」については、前回も触れたように、残念ながらまだはっきりしたエビデンス(科学的根拠)は得られていない。
ただ、座位行動(セデンタリー・ビヘイビア)の研究分野では、30分以上続けて座っている状態を「長時間座位行動」と呼んで、さまざまな研究が行われており、その結果、「座りっぱなし」の健康への悪影響がはっきりしてきている。「そのため、まずは30分ごとに3分くらいのブレイク(中断)を目標にするといいでしょう。もし『30分刻みだと仕事に集中できない』という場合は、1時間に5分でもいいと思います」(岡さん)
脚を動かせば、大きな筋肉が動く
それではブレイクは、どのように入れればいいのだろう。ただ立ち上がるだけでもいいのか、それともなんらかの運動をするべきか。
「『立つだけでもいいんですか』という質問は、よく聞かれます。もちろん、ずっと座りっぱなしよりはいいとは思いますが、立つだけでは十分に筋肉が動きません。せっかくブレイクを入れるなら、立って少し歩き回ってください。下半身には大きな筋肉が多く、人間の筋肉の7割は下半身に集まっています。歩くとその筋肉に刺激を入れられます。歩き回ることができない場合は、その場でスクワット、かかと上げ、足踏みなどでもいいと思います」(岡さん)
座りっぱなしのブレイクは、筋肉を増やすことが目的ではないので、筋トレのように激しい運動は必要ない。気分転換にちょっと体を動かすくらいの感覚でいいそうだ。むしろ、がんばりすぎて膝や腰を痛めないように気をつけたい。
![]() | 大切なのは「座りっぱなしは体に良くない」と強く意識すること。30分から1時間に1回、下半身の大きな筋肉を動かそう |
では、立ったついでに気軽に行えて、太ももの大きな筋肉や、ふくらはぎのポンプ機能を動かすことのできる、6つの「座りっぱなし予防体操」を岡さんに紹介してもらおう。
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