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「腰痛」「肩こり」解消法

ぎっくり腰で痛い! 痛み止め・コルセット・湿布は効く?

第3回 ぎっくり腰を機に腰痛持ちにならないために

 村山真由美=ライター

ぎっくり腰を起こしたら安静にしなければ…と思うが、「ほとんどの腰痛にとって安静は百害あって一利なし。ぎっくり腰直後でも可能な範囲で適切に動いて、なるべく早く日常生活に戻ったほうがいい」と言うのは、東京大学医学部附属病院特任教授・松平浩さんだ。前回記事「ぎっくり腰で動けない ピンチを切り抜ける簡単体操」では、発症直後のまったく動けない状態を切り抜けるための「ぎっくり腰体操」などを紹介したが、今回は、ぎっくり腰発症後の激しい痛みへの対処法や、ぎっくり腰をきっかけに腰痛持ちにならないための生活術について伺った。

痛み止めは使っていい

 ぎっくり腰は激しい痛みを伴うことが多い。初めてぎっくり腰を起こすとパニックになりがちで、ぎっくり腰以外の悪い病気ではないか? 救急車を呼ぶべき? 病院に行くならどの科? 接骨院のほうがいいの? などと迷うこともある。

 しかし、「『こうしていれば楽』という姿勢がある場合は、たいていはぎっくり腰以外の悪い病気ではないので、骨粗しょう症がある可能性が高いシニア層や、がんの既往がある方以外は、基本的にはすぐに病院へ行く必要はないと思います」(松平さん)

 では、自宅で様子を見る場合、市販の痛み止め薬を飲んでいいだろうか。

 「痛み止め薬は、痛みを抑えるだけの対症療法で、根本的な治療にならない」などと、薬を飲むことに抵抗を感じる人も多いようだが、「薬を飲んだほうが早く日常生活に戻れるし、痛みからくる不安や恐れなどのストレスを感じにくくなり、痛みをやり過ごすことができる。また、薬を上手に飲むことで、腰痛の慢性化リスクを下げることができます」と松平さんは言う。

 「ぎっくり腰の初期、強い痛みを感じているときは、薬で早く痛みを抑えたほうがいいでしょう。診療ガイドラインで推奨しているのはNSAIDs(エヌセイズ)という非ステロイド性抗炎症薬で、ロキソプロフェン(ロキソニンなど)が有名です。ただし、過去にNSAIDsで副作用が出たことのある方や、もともと副作用の出やすい高齢の方は、医療機関に相談してください。また、胃腸が弱い、高齢で腎機能が低下している、気管支喘息や心筋梗塞の経験があるといった場合は、アセトアミノフェン(カロナールや市販の『ラックル』など)のほうがいいでしょう」(松平さん)

 松平さんは、「痛み止め薬は、痛いときに1回だけ飲むのではなく、痛い痛くないにかかわらず2~3日でよいので用法・用量に沿って定期的に飲み続け、薬の効果が途切れないようにするのがいい」と言う。なぜなら、個人差はあるものの、脳が苦痛を感じる程度や頻度が増えると、痛みに注意を向ける機会が増え、脳機能が変化し痛みが過敏化しやすくなることが医学的に分かっているからだ。

 「不安や恐怖感を持たずに、通常通りに過ごせば薬を使わなくても多くの人が自然に良くなることも分かっていますが、慢性化するリスクを確実に減らすためには、痛みが一番つらい時期に限ってでよいので、薬の効果が切れないようにして、痛みに注意を向け過ぎないようにすることが肝要と考えます」(松平さん)

気持ちよければ湿布もあり

 腰痛の手当てといえば湿布を思い浮かべる人が多いだろうが、使ってもいいのだろうか。また、冷湿布と温湿布ではどちらがいいのだろう。

 「市販の湿布にも、飲み薬のところで紹介したNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が配合されているものが増えています。しかし、腰痛の炎症部位は皮膚から遠いこともあり、一般的には飲み薬より作用が得られにくいといえます。しかし、湿布を貼ると気持ちがいい、痛みがやわらぐと感じるなら、NSAIDs配合の有無にかかわらず、冷湿布でも温湿布でもどちらでも、あるいは、薄くて粘着力のあるテープ剤でも厚くて貼るときにひんやりするパップ剤でも、好きな種類を選べばよいと思います。脳が気持ちいいと感じていることは痛みの軽減につながります。それによってできるだけ通常通りに活動できるなら、使ったほうがいいでしょう」(松平さん)

 しかし、冷やすことには若干注意が必要だ、と松平さんは言う。

 「ぎっくり腰の痛みを強めているのは背中のアウターマッスルの緊張で、背中の表面を捻挫や打撲のときのように氷枕で冷やすと、筋肉の収縮が強まり痛みが増す可能性があります。冷湿布や温湿布は、それぞれメンソール成分や唐辛子成分などで冷感、温感を感じさせる要素が大きく、皮膚温の変化にそれほど影響を及ぼさないので気持ちよければどちらを使っても構いませんが、氷枕で冷やす行為はあまり勧められません」(松平さん)

コルセットには頼らない

 次に、コルセットや腰ベルトの使用はどうだろう。

 「使ってもいいですが、私は患者さんに2日までと言っています。ぎっくり腰の直後、腰を固定したほうが痛みが軽減され日常生活を送りやすい、という場合は使ってもいいでしょう。しかし、『4週間使用すると腰を支える筋肉が衰える』という研究があるので、長期間の使用はお勧めしません」(松平さん)

 コルセットなどを常用し腰を動かさなくなると、腰の血流が悪くなり発痛物質が増えるともいわれており、コルセットや腰ベルトにはできるだけ頼らないほうがよさそうだ。

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