ぎっくり腰で痛い! 痛み止め・コルセット・湿布は効く?
第3回 ぎっくり腰を機に腰痛持ちにならないために
村山真由美=ライター
腰痛は体を動かすほど良くなる
この記事や前回記事「ぎっくり腰で動けない ピンチを切り抜ける簡単体操」で何度か、「痛みを恐れたり、不安になったりすると痛みが増す」と言ってきたが、ここではそのメカニズムについて少し解説しよう。
ぎっくり腰は明確な原因となる病気がない腰痛だが、ぎっくり腰を繰り返す人や、腰の傷は治っているのに腰痛持ちになってしまう人が多いという。
「ぎっくり腰は、前かがみの姿勢に、荷物を持ち上げる、くしゃみをするなどの負荷が重なった結果起こりますが、この負荷の問題に加えて、さまざまな心理的な要因が脳機能に影響して腰痛の慢性化に関与することが明らかになってきました」(松平さん)
例えばぎっくり腰を経験した人は、「あの痛みは、もう経験したくない」と思うものだが、「その『ぎっくり腰トラウマ』は腰痛に対する不安や恐怖、悲観的な考えを生みます。すると、腰をかばわなければという過剰な警戒心から体を動かさなくなります。すると、うつ気味になってさらに体を動かさなくなり、筋力が衰え、脳が痛みに過敏になってしまいます。こうした悪循環を『恐怖回避思考』といいますが、これを断ち切らない限り腰痛からは解放されませんし、再発を繰り返すことになってしまいます」(松平さん)
つまり、「ぎっくり腰は痛い、怖い」と思わずに、「動かすほど腰痛は良くなる」と思うことがポイントだ。こういった正しい知識を得ただけで慢性腰痛が改善した人もいるという。「さらに、前かがみの姿勢の積み重ねでいわゆる『腰痛借金(負荷)』をためてしまわないよう、普段から『これだけ体操』(第1回記事「パソコン・スマホ作業でたまる『腰痛借金』 3秒体操で解消」を参照)を行う習慣をつけると効果的です。腰痛は体を動かして治しましょう」(松平さん)
腰痛を防ぐ「ハリ胸&プリけつ」
今述べた通り、腰痛持ちにならないためには、腰に腰痛借金(負荷)をためないことが肝心だ。
「そのために、洗顔や掃除機がけなど前かがみの姿勢をとるときに日ごろから意識したいのが、胸を張ると同時に、骨盤を前に傾けてお尻をプリッと出す『ハリ胸&プリけつ』です。高齢者を中心に、日常生活で骨盤が後傾した姿勢をとりがちな日本人は多く、特に洗顔をしたり重いものを持ち上げたりするとき無防備にそのまま前かがみになる人は結構います。そうした姿勢だと大きな負荷がウエストライン付近の椎間板に一気にかかり、ぎっくり腰という事故が起こります」(松平さん)
ただ、いきなり骨盤だけを前傾させる(プリけつ)のは難しいため、先に胸を張る(ハリ胸)と、しっかり「プリけつ」ができるそうだ。「普段から前かがみになるときは『ハリ胸&プリけつ』を心がけるといいでしょう」(松平さん)
「ハリ胸&プリけつ」

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