どうすれば食後高血糖を抑えられる? 今すぐ実践すべき3つの対策
第3回 食後高血糖は「ロカボ」で制する! その効果と科学的根拠
柳本 操=ライター
食後高血糖を放置すると様々な合併症を引き起こす糖尿病につながるだけでなく、それだけで心血管疾患による死亡リスクが高まる。健診では分からないだけに、血糖測定器や薬局の検体測定室などを使って、一度食後の血糖値を測定していただきたい。では、自分が食後高血糖と判明したら、どういった対策を打てばいいのだろうか。最終回となる今回は、食後高血糖を避ける食事法「ロカボ」の実践法を科学的根拠とともに紹介しよう。

近年、食後に血糖値が上昇する「食後高血糖」のリスクがクローズアップされるようになった。放置すると恐ろしい糖尿病につながるだけでなく、心血管疾患による死亡リスクが高くなることも明らかになっている。
「食後高血糖は、空腹時血糖値に異常が表れるよりもはるか前から生じます。そして空腹時血糖値に異常が出てしまったら糖尿病の発症は目前です。食後高血糖にいち早く気付き、それを防ぐ対策に着手していただくのが大事です」と糖尿病専門医の山田悟さんは警鐘を鳴らす。
食後高血糖は健康診断では分からないため見逃されている人が多いが、日本人のリスクは高い(詳しくは第1回を参照)。だから、自分の食後の血糖値を把握することが重要となる。それによって食後高血糖を避ける食生活に変えるという有効な対策を打つことが可能になる。
前回は、近年、血糖値を測定する環境が整ってきたことを紹介した。中でも、注目の測定器「FreeStyleリブレ」は、2週間にわたって血糖値をリアルタイムに測定可能で、食事の内容が血糖値にどう反映されるかがすぐに分かる。
Goodayの編集者A.Oと執筆を担当したライターYが実際にリブレを使用した実践レポートは第2回で紹介した(*1)。そこでも触れたように、50歳前後の両名は、いずれも健康診断の空腹時血糖値は正常だったにもかかわらず食後高血糖だった。ショックな結果となったが、その一方で、糖質の摂取量を抑えたり、油やたんぱく質が多い料理を先に食べたりすることで、お腹いっぱい食べても食後高血糖にならないことも分かった。
つまり、歳を重ねていき、糖代謝の能力が落ちてきても、食事の内容を工夫することで食後高血糖は避けられるのだ。
そこで、第3回となる今回は、食後高血糖を避けるために実践すべき食事(および生活習慣)について山田さんに聞いていこう。山田さんは、「食後高血糖にならない食事法」を提唱している。それが、緩やかな糖質制限「ロカボ」だ。
「リアルタイムに血糖値を測定できる環境があれば、食後高血糖にならない食事の内容を工夫することができます。しかし、誰もがリブレを使って測定できるかというと、費用がかかることもあり現実としては難しいでしょう(*1)。食後高血糖が判明した方はもちろん、食後高血糖の可能性がある方にも実践していただきたい食事法が、『ロカボ』です」と山田さんは話す。今回は、ロカボの実践方法を、その科学的根拠も併せて紹介していこう。
こんな人は食後高血糖に注意! 食生活の見直しを
前回も紹介したが、以下の項目に当てはまる人は食後高血糖が起こっている可能性があると山田さんは指摘する。「自分は危ないかも…」と思った人は、今回紹介する食事法などをぜひ実践していただきたい。同時に、食後の血糖値を一度測定することをお勧めする。
- ロ 昼食後に眠くなる
- ロ 急に甘いものが食べたくなる
- ロ 昼食後などに集中力が途切れやすい
- ロ HbA1cの値がじわじわ上昇し、「5.6」に近づいている
- ロ 両親のどちらか一方でも糖尿病である
- ロ 母親が自分を妊娠中に妊娠糖尿病になっていた
- ロ 生まれたときに巨大児あるいは低出生体重児だった
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