リブレで血糖値を測定すれば、適切な糖質のとり方が見えてくる
第2回 自分の食後高血糖はどうすれば調べられる?
柳本 操=ライター
摂取する糖質量を決める目安の1つは「食後高血糖にならない量」にすること。自分に食後高血糖が起こっているかを知るためにも、自分の食後の血糖値を測定することが欠かせない。近年、血糖値をリアルタイムに測定できる機器が登場するなど、血糖値の測定環境が大きく進化している。今回は、血糖値の見方と、自分で血糖値を測る方法を解説する。編集者、ライターが実際に血糖値を測った結果も紹介しよう。

前回は、「食後高血糖」のリスクと、それを防ぐための糖質のとり方についてお伝えした。
食後高血糖は「糖尿病の前段階(予備群)」であり、そのまま放置しておくと、様々な合併症を引き起こす糖尿病の発病につながる。年齢とともに血糖値を下げるインスリンの分泌量もその働きも下がるため、中高年齢層の多くが食後高血糖のリスクを抱えている。
だが、食後高血糖は健康診断では分からないので見逃されている場合が多い。
ここで重要となるのが、「自分の食後の血糖値を測定し、それを基にした食後高血糖を避ける食べ方をすること」だ。血糖値を上げるのは糖質で、糖質の摂取量(およびとり方)によって食後の血糖値の上昇度合いは決まってくる。食後高血糖にならないような食事の内容にすることで、食後高血糖を避けることができる。
では、どうすれば自分の食後の血糖値を測定できるのだろうか。

糖尿病の診断の際にも使われる最も標準的な検査は「経口ブドウ糖負荷試験」だが、検査に時間がかかるなど、ハードルが高い。ところが最近、リアルタイムで血糖値を知ることができる新たな計測器が登場、「何を食べるとどのぐらい血糖値が上がるか」をすぐに把握できるようになっている。
読者の中には、「健診以外で血糖値を測るなんて、糖尿病になった後の人がすることでは?」と思う人もいるかもしれない。だが、自分の血糖値を把握することは、自分の糖の代謝能力の現状を知り、適切な糖質の摂取量(食べ方)を知るための大切な条件といえる。一度、自分の食後の血糖値を測定していただきたい。
緩やかな糖質制限「ロカボ」の提唱者で、糖尿病専門医、北里研究所病院 糖尿病センター長の山田悟さんは、「予防的に自らの食後血糖値を知っておくことはとても大切なことです。今、私たち糖尿病専門医が望んでいた『誰もが手軽に食後血糖値を計測できる環境』が整いつつあります。ぜひ、この環境を生かしてください」と話す。
そこで今回は、食後高血糖(および糖尿病)かどうかを判定するための血糖値の見方と、血糖値の測定方法を紹介していこう。
どこまでが正常値? どこからが食後高血糖?
まずは「血糖値の見方」を確認しておこう。食後の血糖値はどこまでがOKなのか。
第1回でも触れたように、血糖値とは血液中のブドウ糖の濃度のこと。この血糖値、測定するタイミングの違いなどにより、いくつかの指標がある。
具体的に、知っておくべき血糖値の指標は3つある。1つは健康診断で分かる「空腹時血糖値」。健康診断は朝食を抜いた状態で採血して血糖値を測定するから、そこで分かるのは空腹時の血糖値なわけだ。2つ目は、健康診断でも分かるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)。過去約2カ月間の血糖値の平均を見る指標だ。
そして3つ目が「食後血糖値」。食事を摂取した後の血糖値なので、通常の健康診断では測定できない。医療機関においては、「経口ブドウ糖負荷試験(*1)」により、75gのブドウ糖を摂取してから2時間後の血糖値となる(2時間後血糖値)。私たちが家庭などで食後の血糖値を測定する方法については、本記事の後半で解説する。
まず、血糖値に問題がないと判断される基準から見ていこう。具体的には以下のようになる。
- 血糖値に問題がない(正常型)と判断される基準値(*2)
- ロ 空腹時血糖値 70mg/dL以上、110mg/dL未満
- ロ 食後血糖値 70mg/dL以上、140mg/dL未満
- ロ HbA1c 4.6%以上、6.2%未満
ここにあるように、健康診断で分かる空腹時血糖値では110mg/dL未満に収まっていれば異常なしということになる。そして食後血糖値は140mg/dL未満が正常だ。また、いずれの時間帯でも70mg/dL未満は低血糖と判定される。
もちろん、空腹時血糖値が基準値以内に収まっていても、食後の血糖値が140mg/dL以上なら問題ありだ。私たちが目指すのは、食後の血糖値を140mg/dL未満に抑えること。そうするための食事法については次回詳しく紹介する。
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