ズボラでも大丈夫! 内臓脂肪を落とす「食事の3つの鉄則」
第2回 まず優先すべきは「脂肪」の摂取を控えること
田中美香=医療ジャーナリスト
生活習慣病やがん、頻尿、便秘などのリスク要因になる内臓脂肪。早く落としたいところだが、内臓脂肪は「なかなか落ちない頑固者」というイメージを持つ人が多いだろう。しかし、実は「内臓脂肪は、努力に報いてくれる正直者」だった――。第1回では、内臓脂肪のイメージをひっくり返す、こんな内容を紹介した。第2回と第3回では、いよいよ内臓脂肪の落とし方を解説していく。今回のテーマは食事のルール。無理なく誰でも続けられる、食生活改善のポイントを見ていこう。
内臓脂肪を落とす2本柱は、やっぱり食事と運動

内臓脂肪の“つき過ぎ”は万病のもと。糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病はもちろん、がん、頻尿、便秘などのリスクも上げる怖い存在だ。
読者の皆さんも、内臓脂肪はよくないと分かっていても、「私は大丈夫」と放置する人が多いのではないだろうか。しかし、20万人以上の人間ドック・健康診断を行ってきた予防医学のプロフェッショナル、内科医の奥田昌子さんは「内臓脂肪を落とさない限り、病気の進行は止められない」と警告する(詳しくは第1回を参照)。
前回解説したように、欧米人と日本人では脂肪のつきやすい場所が違う。「同じ脂肪でも、日本人は危険な内臓脂肪として蓄えやすいのに、この事実を知らない人が多い。内臓脂肪こそ、日本人の体質における最大の弱点なのです」(奥田さん)。だからこそ、内臓脂肪を減らす対策に、一刻も早く着手したい。
一般に「内臓脂肪は頑固で減らしにくい」と思われているが、これも大きな誤解だ。実際は、日本人が太るときは内臓脂肪からつき、やせるときは内臓脂肪から落ちていく。そのため、奥田さんは、「内臓脂肪はストイックにならなくても落とすことは可能です。やる前からあきらめるのはもったいない」と話す。
では、どうすれば効率よく内臓脂肪を落とすことができるのだろうか。奥田さんは、「脂肪の摂取を減らす食事と、有酸素運動の2本柱が大切」だと語る。
「内臓脂肪を減らすのは実は簡単です。食べ過ぎなければ蓄積されることはないし、少々ついても運動で燃やせばいいのです。つまり、内臓脂肪を落とす上で重要なのは、食べ過ぎを控え、有酸素運動をすること。この2つです」(奥田さん)
「内臓脂肪は落ちにくいと思うかもしれませんが、実は、取れてはついて、取れてはついて…を繰り返しているだけです。その収支がプラマイゼロだから落ちないと感じるのです。内臓脂肪は、頑固に見えるようで実は正直者。対策の2本柱にきちんと取り組めば、内臓脂肪は着実に落ち、努力に応えてくれます」(奥田さん)
では、奥田さんが勧める2本柱の1つ、食事のルールについて解説していこう。
内臓脂肪を減らすために知っておきたい「式」がある
さて、肥満解消(やせる)、ダイエットなどというと、最初に出てくるのがカロリー(エネルギー)の問題だろう。市販のおにぎりやサンドイッチなどにも、カロリーが表示されるのがすっかり当たり前になった。
奥田さんは、「各食品のカロリーを細かく覚える必要はないが、内臓脂肪を減らすためにぜひ押さえておきたい数字がある」という。それが下の式だ。
