内臓脂肪が落ちやすい体質になるには? じつはラジオ体操でもOK
第3回 有酸素運動と筋トレの“いいとこ取り”で内臓脂肪を減らす!
田中美香=医療ジャーナリスト
日本人の弱点である「内臓脂肪」を落とすには、脂肪の摂取を制限する食生活と、有酸素運動を主体とした「運動」、この2つが欠かせない。最終回となる今回は、より効果的に内臓脂肪を落とす運動のコツを紹介する。一般に「脂肪を燃焼させるには有酸素運動」というイメージがあるが、どんな運動をどのくらいすればいいのか、筋トレはどう取り入れればいいのか、具体的に見ていこう。

過剰な内臓脂肪は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病のルーツであり、動脈硬化を引き起こす諸悪の根源。それだけでは済まされず、認知症やがんのリスクまで高めてしまう(第1回を参照)。これを予防するには内臓脂肪を落とすことが欠かせないが、そこでカギを握るのが食事と運動だ(第2回を参照)。
多くの人は、健康を維持する上で食事と運動が大事だと知ってはいるだろう。20万人以上の人間ドック・健康診断を行ってきた予防医学のプロフェッショナル、内科医の奥田昌子さんは、「食事だけで体重を減らせば、筋肉が落ちたり骨がもろくなったりと支障が出ることがあります。そこで運動も同時に進めれば、そういったマイナス面が起こりにくいことが確認されています。食事と運動は両輪で取り組んでください」と話す。
問題は、食事や運動を少し変える、それだけのことがなかなか習慣として定着しないことだろう。だが、年も改まった今、心機一転、少しだけ変えてみることにぜひ挑戦していただきたい。奥田さんも、「いま生活を少し変えるだけで、将来の病気のリスクが大きく変わります。少しの努力を続けるだけで、将来、大きな効果が得られることに目を向けていただきたい。何もしないのはもったいない」と強調する。
食事面での対策は前回詳しく紹介した通り。今回は、運動面の具体的な対策を奥田さんに聞いていこう。
内臓脂肪を落とすのに有効なのは「有酸素運動」
第1回で解説したように、「日本人は内臓脂肪がつきやすい」という体質は変えようがない。だが、「ついた内臓脂肪が燃焼しやすい体質になることは十分可能です」と奥田さんは話す。そして、それを実現してくれるのが運動なのだという。
では、効率よく内臓脂肪を落とすには、どんな運動がいいのだろうか。
「内臓脂肪はお腹にたまるから、そこをダイレクトに鍛える腹筋運動(シットアップ)が有効では?」と思う人もいるかもしれない。だが、奥田さんは、「腹筋運動も悪くはありませんが、実は腹筋運動で内臓脂肪を減らせる効果はわずかにすぎません」と話す。内臓脂肪がお腹につくからといって、腹筋運動だけに精を出すのはあまり意味がないのだという。
内臓脂肪を減らす心強い味方、運動のポイントは下表の通りだ。順に説明していこう。

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