風邪かどうかの見極め方は? まず3症状のチェックを
伊藤和弘=ライター
「特定のビタミンや栄養素で最も研究が多いのはビタミンCですが、いまだに明確な質の高いエビデンス(科学的根拠)は出ていません。プラセボ効果はあると思いますが、私が患者さんに勧めることはありませんね」
基本は「おとなしく寝ている」こと
以下、岸田さんによる「風邪の対処法」をまとめておこう。
まずは、風邪の3症状である「咳」「鼻水」「のどの痛み」をチェックしよう。この3つの症状がそろっていれば、ほぼ風邪だと考えていい。熱があって起きているのがつらければ、同僚にうつさないためにも会社を休んで寝ていよう。言うまでもなく、「人にうつすと早く治る」というのも迷信にすぎない。
室温は快適な気温に。寒ければ暖かくするべきだが、汗をかくほど室温を上げても風邪が早く治るわけではない。

食事は消化に良いものを心がけていつも通りでいいし、食欲がなければ無理に食べる必要はない。ただし、熱がある場合、水分補給は忘れないようにしたい。コーヒーやアルコールは控えめにしよう。
のどの粘膜を刺激するので、タバコも吸わないに越したことはない。
入浴は「体温をワンランク上げ、だるさが強くなることもあるので長風呂はいけませんが、短時間の入浴やシャワーなら構いません。むしろ汗だくのままでいると不潔ですので、調子の良いときにシャワーで汗を流しましょう」と岸田さんは話す。
あとは、おとなしく寝ているだけでいい。通常の風邪なら2~3日程度で自然に治るはずだ。
本当に風邪ならこれで大丈夫だが、問題は「風邪だと思っていたら違う病気だった」場合だろう。そこで次回は「医療機関を受診するべき症状」について説明しよう。
(図版作成 増田真一)
総合診療医、感染症医、感染症コンサルタント
