がん治療にかかる金銭面の負担を減らす制度とは?
支援制度を活用し仕事と治療の両立をはかろう
日経おとなのOFF
50代後半からがんの罹患率は徐々に上昇し、60代以降は、男性が女性より顕著に高くなる。がんの罹患というピンチが、自分はもちろん家族に訪れたらどうすればいいのか。さまざまな制度を上手に利用し、本人はできるだけ仕事を続けるようにしよう。

制度を上手に利用してできるだけ仕事は続けよう
がんを宣告されたとき、まず心配になるのが仕事と治療との両立が可能かどうかだ。
「とにかく、慌てて辞めないことです」。そうアドバイスするのは、特定社会保険労務士の近藤明美さん。政府も両立を支援する方向に向かっている。
「仕事を続けることが、収入面はもちろん、やりがいなど精神的な支えにもなります。その場合に大切なのは職場でのコミュニケーション。周りの協力を得られるよう、工夫することが大切です」。勤務先の有給休暇や休職制度などを確認し、上司に協力を仰ぐことも欠かせない。
治療と仕事との両立に悩んだ場合の支援もある。「医療機関や都道府県には、がん患者の就労に関する相談窓口があります。困ったときは1人で悩まず、仕事を辞める前にぜひ利用してください」。
![]() | がん治療にかかる費用の目安は? |
![]() | 100万円あれば収まるケースが多い |
がんと診断されたら、病状の次に心配なのがお金のことだろう。一体、がん治療にはいくらくらいかかるのだろう。実際のところは、がんの種類や治療内容によって異なるため一概にはいえないが、参考になるのは患者や家族へのアンケート調査だ。
NPO法人の日本医療政策機構が実施したアンケート調査「がん患者意識調査2010年」によると、「がん治療や後遺症軽減のための費用が最もかかった1年間の合計額(結果的に自己負担となった額)は?」という質問に対する、平均金額は115万円。ただし、回答者のおよそ6割は100万円未満と回答している。あくまで目安だが、100万円あれば当座をしのげると思っていいだろう。