中性脂肪を下げるために控えるべきは、脂質? それとも糖質?
第3回 中性脂肪を下げる「3つの食事の鉄則」を知ろう
田中美香=医療ジャーナリスト
中性脂肪を下げるために取り組むべき対策といえば、運動と食事の2本柱だ。中性脂肪の数値を下げる「3つの運動」を解説した前回に続き、今回は「中性脂肪を下げる食事の3つの鉄則」を紹介しよう。食事の中で中性脂肪に大きな影響を及ぼすのは糖質か脂質か。酒飲みなら気になるお酒と中性脂肪の関係は――。今年こそ3日坊主で終わらせない、中性脂肪をしっかり下げる対策を、脂質対策の専門家・帝京大学名誉教授の寺本民生さんに指南していただこう。
中性脂肪を下げる食事のポイントは、糖質、お酒、青魚の3つ

年末年始の食べ過ぎ・飲み過ぎが尾を引いて、1月下旬になっても体が重い…そんな人も多いことだろう。寒くなると外出の頻度も減り、つい家の中でぬくぬく過ごしたいと思ってしまいがちだ。
そんな生活の乱れが数値として顕著に表れるのが「中性脂肪」だ。健康診断で基準値を超えがちな人は、年末年始の食べ過ぎ・飲み過ぎ、運動不足の影響で、さらに高くなっている可能性が高い。基準値を超えても自覚症状がないからと放置しがちだが、そのままにしておくと動脈硬化を進めることは、数々の研究から明らかになっている。さらに過剰に高くなると、七転八倒の痛みに襲われる急性膵炎のリスクが迫ってくる。
このように、過剰になるとさまざまな病気のもととなる中性脂肪だが、体の中で分解されないコレステロールに比べると、「減らしやすい」という特徴がある。「がんこな脂肪は落ちにくい!」などと言われることが多く、減らすのは難しいと思われがちだが、正しく対策を実行すれば着実に減らせるのだ。
前回(第2回)は、まず取り組むべき「運動」面の対策を紹介した。しかし、生活習慣の改善といえば、運動と食事が両輪なのは言うまでもない。運動だけでなく、食事を「正しい方法で改善する」ことも並行して取り組んでみてほしい。「正しい方法で」と強調するのは、中性脂肪と食事の関係について、多くの人が誤解していることがあるからだ。
例えば、「中性脂肪は、『脂肪』というだけに、肉類などの脂っこい料理を避ければ下がるはず」、そう思う人もいるかもしれない。しかし、脂質対策の専門家で数々の著書も手掛ける帝京大学名誉教授の寺本民生さんによると、それは誤解だという。
「血液中の中性脂肪の数値は、150mg/dLをボーダーとして、上回ると高中性脂肪血症(高トリグリセライド血症)と診断されます。150mg/dLを超えると動脈硬化を起こす恐れがありますが、特に200~300mg/dLくらい、中等度まで中性脂肪が上がるとそのリスクがさらに高まります(第1回参照)。しかし、その場合、動脈硬化になりやすいものの、脂質の摂取を制限してもほとんど効果はありません」(寺本さん)
では、脂質の代わりに何に注意すればいいのか。寺本さんが勧める中性脂肪を下げる食事のポイントは、脂肪よりも糖質を減らすことだと話す。さらに、お酒をよく飲む人は、お酒を減らすことも大事だ。そして、意識して摂取を増やしてほしいのが魚、特に青魚を食べることを勧める。最終回となる今回は、これら食事面での中性脂肪対策を寺本さんに聞いていこう。
