最強の運動法「HIIT」の10の疑問に答えます!
第3回 1セットの時間は長いほどいい? 効果が感じられないときはどうすれば?
伊藤和弘=ライター
筋トレと有酸素運動の両方の要素を兼ね備え、血糖値や血圧を下げる効果も高いことで注目される話題の運動法、HIIT(ヒット/ヒート)。本特集では、全力の70~80%の強度で行う“ゆるHIIT”の高い健康効果と具体的なプログラムを紹介してきた。最終回となる今回は、HIITに関する10の疑問について、『世界一効率がいい 最高の運動』(かんき出版)の著者でもある東海大学医学部内科学教授の川田浩志さんに一問一答形式で答えていただこう。
従来の運動に比べて、HIITの魅力は何ですか?
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短時間で終わり、筋トレと有酸素運動の要素を併せ持ち、何より楽しいことです |

第1回でも触れたように、一般の方々が「運動しない理由」で最も多いのは「時間がない」ことです。ところが、HIITはわずか数分あればできてしまいます。この「超短時間」という点が第1の魅力でしょう。実際、カナダのマクマスター大学で行われた研究から、休憩も入れてわずか5分のHIITが45分の有酸素運動と同じだけ持久力を上げることが確認されています(*1)。
さらに、HIITはこれひとつで有酸素運動と筋トレ(筋力トレーニング)の両方の効果が得られます。運動強度が高いことが筋トレになり、繰り返し行うことで有酸素運動になります。短時間なのに一挙両得。これが第2の魅力です。
さらに、肥満や生活習慣病を防ぐ効果も高いこと。これが第3の魅力です。体脂肪の減少、空腹時血糖値の低下、中性脂肪の減少、拡張期血圧(下の血圧)の低下、すべて有酸素運動よりもHIITの方が大きかったという報告もあります(*2)。
…と、ここまで「メリット」ばかりを述べてきましたが、私は、HIITの最大の魅力は、「やっていて楽しい」ことだと思います。従来の有酸素運動に比べて、HIITは続けるほどに楽しみが増えること(*3、図1)や、飽きにくく、離脱率が低いこと(*4)が報告されています。

この感覚は、実際にやってみるとお分かりになると思います。HIITは確かに運動中はきついのですが、極限まで力を出す必要はありませんし、たった20~30秒で終わると思えば、心理的にもそれほどつらくありません。きついけれど、終わりが見えているのでがんばれる。それが高い達成感とモチベーションにつながっていくのではないかと考えています。どんな運動も、長続きしなければ意味がありません。HIITは短時間で効率が良く、やっていて楽しい。だから続く。これは大きな魅力だと感じています。

*2 Dun Y, et al. Cardiovasc Diabetol. 2019; 18(1):104.
*3 Heisz JJ, et al. PLoS One. 2016;11:e0168534.
*4 Reljic D, et al. Eur J Appl Physiol. 2018; 118(6):1153-67.