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絶対に休めない医師の健康管理

医師がやっている科学的に証明された“風邪対策”とは?

第1回 風邪・インフルエンザはどこまで予防できるか

 青木由美子=ライター/編集者

知っておきたい「3つの感染ルート」

 「風邪はどのようにしてうつるか」についても、正しい知識を持ち合わせている人は少ないかもしれない。風邪など、上気道感染症に関連するウイルスの感染ルートは、次に挙げるように3つある。


1 飛沫感染

感染している人のくしゃみ・咳によって空気中にウイルスなどの病原体が「飛沫」として排出され、それを吸い込むことによって起こる感染。だいたい1~2メートルの距離で感染する。

2 空気感染

感染している人から排出された飛沫が、そのままカラカラに乾燥して水分を失い、小さな「飛沫核」になって空中を漂い、それを吸い込むことによって起こる感染。学校の教室内くらいの距離であれば感染してしまうので、予防が難しい。

3 接触感染

感染ウイルスが含まれた鼻汁、唾液などに直接触れることで手にウイルスがつき、その手で自分の口や鼻を触ることで感染する。小さな子どもは保育園などで、同じおもちゃで遊び、その手で顔を触り、口に入れてなめたりするので、接触感染が多い。小さい子どもがいる家庭では、子どもと接触する機会が多いので、大人もこのルートで風邪をひくことが多い。


 風邪やインフルエンザのウイルスが感染する経路は、主に飛沫感染と接触感染の2つ。つまり、感染した人が触れたものに触れないようにしつつ、1~2メートルの距離に近づかなければ、うつらないということになる。

 同じ部屋にいるだけでうつってしまう空気感染が起きるのは、とても感染力が強い病原体の場合だ。水分がなくなった「飛沫核」という状態でも感染する力が残っている病原体というのは、麻疹(はしか)ウイルス、水痘帯状疱疹(水ぼうそう)ウイルス、結核菌などがある。

 「ただし、実は、インフルエンザウイルスも、飛沫感染や接触感染だけでなく空気感染もする可能性がある、という研究報告があり、油断がなりません。米国メリーランド大学で、インフルエンザにかかり、発症から1~3日たった患者142人について、呼吸にどの程度ウイルスが含まれているかを調べたところ、咳をしていない患者の呼気の48%から、インフルエンザウイルスが検出されたのです(*2)」(大谷さん)

*2 Proc Natl Acad Sci U S A. 2018;115(5):1081-1086.

マスクを正しく使えていない人は「7割」!

 風邪やインフルエンザを予防するためには、飛沫感染をいかに防ぐかがカギになる。そのために有効だと大谷さんが考えるのは「マスク」だ。

 「マスクの効能は、(1)飛沫が鼻や喉に侵入するのを防ぐ、(2)喉の乾燥を防ぐ、(3)マスクをしていると自然と顔を触らなくなる、という3点です。指先にウイルスがついた状態で、鼻や口を触ることで接触感染が起きますが、マスクをしていればそれも防ぐことができるのです」(大谷さん)

 実は、マスクについてエビデンスとなる論文はあまりないという。欧米では、マスクは医療関係者が着用するもので、一般の人は利用しないため、研究の対象となりにくいからだ。マスクを一般の人が利用しているのは、日本をはじめアジアの国々が中心だ。

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