高齢化で急増!「やがて脳梗塞を起こす不整脈」は無症状でも危険
第3回 カテーテル治療で根治も? 心房細動の治療は年々進化
梅方久仁子=ライター
脈が乱れて動悸などが出現する不整脈には、「怖い不整脈」と「怖くない不整脈」がある。特集第3回となる今回は、「怖い不整脈」の中で最も頻度の高い「心房細動」を取り上げよう。心房細動は、第1回で紹介した「期外収縮」に次いで多い不整脈で、脈が乱れること自体よりも、脳梗塞などの重い合併症を引き起こす点が問題となる。患者数は100万人ともいわれていて、健康な人でも年齢とともに発症リスクは上昇する。いつあなたに起こってもおかしくない。
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第2回
第3回
高齢化で急増!「やがて脳梗塞を起こす不整脈」は無症状でも危険
第4回
心房が細かく震える心房細動は、自覚症状がないと早期発見が難しい
何が起こっている? |
心房に異常な電気信号が連続して出て、心房が小刻みに震える。心室細動とは違って心臓のポンプ機能は保たれている |
症状 |
動悸、息切れなど。無症状の場合も多い。脈は速くなったり不規則になったりする。突然死に至ることはない |
主な治療 |
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本特集の第1回、第2回でもご紹介したように、脈が乱れて動悸などが出現する不整脈には「怖い不整脈」と「怖くない不整脈」がある。今回取り上げるのは、「怖い不整脈」の中で最も頻度の高い、「心房細動」と呼ばれる不整脈だ。
心房細動は、脈が乱れたり速くなったりするタイプの不整脈で、患者数は100万人を超えるといわれている。他の不整脈と異なる最大の特徴は、「心房細動自体が命にかかわることはないが、放っておくと脳梗塞などの重い合併症を引き起こすリスクが高い」ことだ。心臓の病気なのに脳に障害が発生するのは、なぜなのだろうか。詳しく見ていこう。
心房は、大静脈や肺静脈から戻ってきた血液を一時的にためて、心室に送り込む働きをしている。心房細動では、不規則な電気信号が心房に伝わることで、心房が細かく震え、1分間に350回以上も収縮する。

この状態では、心房から心室へと血液が送られにくくなるが、心室自体はポンプ機能を果たしてくれるので、前回紹介した「心室細動」とは違って、すぐには命の危険はない。ただ、心室の拍動は不規則となり、脈拍数は50回/分前後のこともあれば、100回を超えることもある。

心房細動の主な症状は、動悸や息切れ、胸の不快感だが、こうした症状が出る人と、まったく出ない人がいる。自覚症状がある人は約半数と言われており、症状のある・なしは、心房細動の重症度とは関係がない。症状はないほうがよさそうに思えるが、自覚症状がないと発見されにくいところが大きな問題だ。
「心房細動は、ときどき心房が震えては治まる発作性で始まり、次第にずっと震えたままの慢性へと移行します。自覚症状があると自分から病院を訪れるきっかけになりますが、症状がなければなかなか気がつきません。そのため健康診断の心電図検査で見つかった人の多くは既に慢性化して、病気が進んでしまっていることが多いんです」。不整脈のスペシャリストである、公益財団法人心臓血管研究所所長の山下武志さんはそう話す。
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