坐骨神経痛の再発を防ぐ「姿勢」の鉄則
第3回 根本的な原因「腰に負担をかける姿勢と動作」を取り除く
伊藤和弘=ライター
お尻から太もも、すねなどにかけて起こる「坐骨神経痛」は、7~8割が手術なしで治すことができる。だが、問題は再発しやすいこと。再発を防ぐためには、日頃の姿勢の改善と運動療法の継続が欠かせない。引き続き、日本赤十字社医療センター脊椎整形外科顧問の久野木順一氏に、「坐骨神経痛の再発を防ぐセルフケア」について聞いていこう(第2回の記事はこちら)。
坐骨神経痛の根本的な原因は、「腰に負担をかける姿勢と動作」

お尻から下の下半身に痛みやしびれが出る、坐骨神経痛。その原因のほとんどは腰椎(背骨の腰の部分)にある。代表的な病気は椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症。ヘルニア(椎間板の中の髄核が飛び出した状態)が発生したり、神経の束(脊髄)が通っている背骨の脊柱管が狭くなることで、坐骨神経につながる腰の神経の根元が圧迫され、その情報が下半身に伝わり、痛みやしびれが起きるわけだ(詳しくは第1回参照)。
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症は、ひどくなると手術が必要になるが、早期に受診すれば、大部分が保存療法で症状を改善させられることを、第2回「坐骨神経痛」を手術なしで治す、お勧め体操6選!でご紹介した。
「中でも患者さんが自ら“治そう”という気持ちで取り組んでいただきたいのが、運動療法です。運動療法は、坐骨神経痛の症状緩和だけでなく、続けて取り組むことで、再発予防にもなります。保存療法で症状がなくなった後も、ぜひ続けてください」と久野木氏は勧める。
運動療法にお勧めの体操は、第2回でご紹介したのでぜひご参照いただきたい。それらと並行して再発予防に欠かせないのが、日常生活での姿勢や動作の改善だ。
「脊柱管狭窄症も椎間板ヘルニアも、加齢による腰椎や椎間板の変性が直接的な原因で起こりますが、いずれも根本的な原因は、長年にわたる不適切な姿勢や動作です」と久野木氏は指摘する。猫背のような前かがみの姿勢や、反動をつけて重いものを持ち上げる動作、腰を大きくひねる動作、デスクワークや車の運転などで長時間同じ姿勢を続ける生活などは、腰に大きな負担をかける。
坐骨神経痛は、再発しやすい。医師による治療を受けていても、腰に負担をかける姿勢や動作が変わらなければなかなか治らないし、再発する可能性も高くなる。では、どのような姿勢や動作を心がけるべきなのか。1つずつ見ていこう。