「マラソン完走請負人」が教える、失敗しないジョギングの始め方
第2回 フォームは意識せず、まずはウォーキングから
梅方久仁子=ライター
ウォーキング(早歩き)を極めるよりも簡単で運動強度が高い、初心者でもできるジョギングの秘訣を“マラソン完走請負人”牧野仁さんに聞いていく本特集。第2回となる今回は、何年も走ったことのない初心者がジョギングを始める際、まず何をすべきか、どんなところに注意すればいいのかについて、より具体的に聞いていこう。
ウォーキングから始めると、スムーズに前へ走り出せる
前回(「早歩き」よりも「ゆっくり走る」方が実は簡単!)は、(1)普段と変わらない速さで歩くウォーキングでは、心肺機能への負荷や筋肉への刺激が足りず、いくら距離や時間を延ばしても健康への効果は得られにくいこと、(2)ウォーキングよりも運動強度の高い「早歩き」も、初心者が上手に長く続けるには高度なテクニックが必要であり、運動強度にも限界があること――を紹介した。
初心者から上級者まで幅広いランナーを指導している、“マラソン完走請負人”こと牧野仁さんは、「運動の初心者が、脂肪の燃焼や体力の向上などを目標に、ある程度の運動強度を保った運動をするなら、早歩きよりもジョギングの方が絶対に楽です」と話す。
自分の体力に合わせた、息苦しさを感じないゆっくりペースのジョギングでも、ウォーキングよりも高い運動強度が得られ、エネルギーを効率よく消費しながら楽に続けることができるという。
では、初心者がジョギングを始めようと思い立ったとき、まずは何から始めて、どんなことに注意すればいいのだろうか。「いきなり走り出してもいいの?」「速さや時間はどのくらい?」「コースはどんなところがいい?」「フォームで気を付ける点は?」など、様々な疑問があるだろう。今回と次回は、具体的なポイントを牧野さんに聞いていく。
初心者はフォームを意識する必要なし
まずはフォームについて。ジョギング初心者の中には、「上手に走るためにはどんなフォームで走れば良いのでしょうか」と尋ねる人も多いという。しかし牧野さんは、「初心者は、フォームを意識する必要はありません」と言い切る。
「正しいフォームを頭で理解しても、走っているときにその通り実行するのは、初心者には困難です。走るときの歩数は上級者で1分間180歩くらい、今回お勧めするゆっくりジョギングでも140歩くらいになります。1秒間に2歩も3歩も足を出さなければいけないのに、『視線は遠く、あごを引き、背筋を伸ばして、腕を振って、着地はかかとから…』なんて、考えられますか? フォームについてあれこれ悩むよりも、まずは運動習慣をつけ、走り慣れることを優先しましょう」(牧野さん)。