「1カ月で3kg減量」は失敗? まず筋肉を増やすのが近道
第2回 脂肪の燃焼、高血糖・高血圧対策でも、筋トレが効果的!
高島三幸=ライター
健康診断で引っかかった数値を改善したり、カロリーを消費して減量したり、病気を予防するといった目的のためには、どのような運動をするのが効果的だろうか。フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さんは、「筋肉がつく運動」をすることが重要だと言う。筋肉がつくための「3原則」に沿って、成果が出る運動のやり方を教えてもらおう。
減量指導でトレーナーがまず筋トレをさせる理由
健康のために運動しようとする人は多いが、「ひと駅前で降りて歩く」「1日1万歩を続ける」「テレビを見ながら軽い筋トレをする」といった“運動習慣”を身につけても十分な成果は得られにくい、とフィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さんは指摘する。
「強度の低い運動は、汗をかいてリフレッシュするという目的ならいいですが、そうではなく、肥満の解消や、生活習慣病やロコモ対策、健診の数値改善が目的の場合は、効率が悪いと言えます」(中野さん)
前回、中野さんは、適度に強度があって成果が出せる運動というのは、「筋肉がつくかどうかがひとつの目安になる」と教えてくれた。
例えば、健康のために減量するという目的で運動する場合、「脂肪を燃やすには有酸素運動をやるのがいい」と思う人は多いだろう。だが、その有酸素運動の効果を高めるためには、筋トレをして筋肉量を増やしておくことが大切なのだ。
実際、中野さんが一般の人向けに、生活習慣病対策として減量を目的とした運動指導を行うときは、最初は筋力トレーニング中心のメニューを組むことが多いという。
「脂肪を燃焼させるためには有酸素運動が有効ですが、まずウォーキングや軽いジョギングから始めても、減量という目的のためには遠回りになってしまうケースが多いのです。それよりも、まずは筋トレをしっかりやって筋肉量を増やしたほうがいい」と中野さんは言う。
有酸素運動で効率よく脂肪を燃焼させるために重要なのが、筋肉量なのだ。「運動不足で、筋肉量の少ない人が有酸素運動を行っても、脂肪の燃焼が少ない。ですから、まずは筋トレなどで筋肉量を増やすことが、効率よく脂肪を燃焼させる近道なのです」(中野さん)

特に肥満が著しい人の場合は、いきなりジョギングを始めると、膝を痛めてしまうこともある。最初の2~3カ月は、食事制限と筋トレ中心のメニューに取り組み、その後、有酸素運動に本格的に取り組めば、効率よく脂肪を燃焼できるようになるという。
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