「筋肉を増やす」ことで脂肪肝は良くなる!
第3回 運動編:最も効果が高いのは高強度インターバルトレーニング
伊藤和弘=ライター
お酒の飲み過ぎとは関係なく起こる、非アルコール性の脂肪肝の成り立ちには、肥満だけでなく、筋肉の減少や質の低下が深くかかわっている。第3回となる今回は、体重減少をそれほど伴わなくても脂肪肝を改善する効果があるという、「運動」の具体的な方法について、筑波大学附属病院消化器内科教授の正田純一さんに聞いていく。
“第2の肝臓”である筋肉を増やすことが脂肪肝解消につながる
第1回で触れたように、近年、脂肪肝と筋肉(骨格筋)には深い関係があることが分かってきた。筋肉が少ない人や、筋肉の中に脂肪が入り込んで質が低下している人ほど脂肪肝になりやすいのだ。
「筋肉は単に体を動かすだけの器官ではありません。骨格筋は “第2の肝臓” と呼ばれるほど、肝臓と似た役割を果たしているのです」と、筑波大学附属病院消化器内科(肝臓生活習慣病外来担当)教授の正田純一さんは指摘する。アンモニアの分解、たんぱく質の貯蔵、血糖値を下げる、マイオカイン(筋肉から分泌されるサイトカイン〔*1〕の総称)の分泌など、筋肉は肝臓と同じような代謝臓器としても働いているという。
そのため、筋肉が減ると、肝臓の負担が増す。実際、筋肉が少ない人が肝硬変や肝がんになると、通常よりも寿命が短くなる。年を取って筋肉が減っていくことを「サルコペニア」と呼ぶが、サルコペニアになると脂肪肝になりやすく、脂肪肝になるとサルコペニアが進みやすいことも分かってきた。
「肝臓についた脂肪を落とし、脂肪肝を改善・予防するには、食事の量を減らして体重を落とすことも重要ですが、それだけでなく、運動によって筋肉量を維持・増強することが欠かせないわけです」(正田さん)。