冬のかゆみは、3つの“ぱなし”をやめて抑える!
第2回 お風呂の入りすぎやゴシゴシ洗いはご法度
梅方久仁子=ライター
冬場の悩ましい「かゆみ」を撃退する秘訣を、皮膚科専門医の小林美咲氏に聞いていく本特集。第2回となる今回は、皮膚にダメージを与え、かゆみの元となる「間違った生活習慣」を詳しく解説していく。キーワードは「3つの“ぱなし”」。あなたにも、心当たりがあるのでは?
冬場のかゆみを撃退する秘訣を、皮膚科専門医の小林美咲氏に伺う本特集。第1回では、加齢による皮脂の減少や新陳代謝の低下が皮膚のバリア機能を低下させ、そこに冬の乾燥が拍車をかけて皮膚にダメージを与え、少しの刺激がかゆみを引き起こすことを解説した。
しかし、皮膚にダメージを与えるのは、加齢や空気の乾燥だけではない。実は、日本人に多く見られる「間違った生活習慣」が、かゆみの元凶となっているケースがかなり多いという。そうした間違った生活習慣を変えてみることで、肌の状態が改善し、かゆみから解放される可能性は大いにある。今現在、かゆみに悩まされていない人も、これらのアドバイスを実践すれば、皮膚の健康な状態を維持し、かゆみの予防にもつながるので、ぜひ読んでみてほしい。
「汚れっぱなし」「濡れっぱなし」「こすれっぱなし」に注意!
「冬に多い末梢性のかゆみ(第1回参照)は、皮膚のコンディションの不調、バリア機能の低下から起こります。それは、年齢や空気の乾燥だけでなく、間違った生活習慣からくることが多いんです」と小林氏は言う。
皮膚のバリア機能を低下させる「やってはいけない生活習慣」として、小林氏が「ぜひ覚えておいてほしい」と話すのが、3つの“ぱなし”。すなわち「汚れっぱなし」「濡れっぱなし」「こすれっぱなし」――の3つだ。それぞれについて詳しくみていこう。
かゆみの元になるNG習慣【1】汚れっぱなし

「汚れっぱなし」は、皮膚に汚れがついたまま、放置されている状態。皮膚の汚れには、垢、汗、皮脂、常在菌、尿、便などの「体の内側から出てくる汚れ」と、ほこり、洗剤、化粧品、飲食物など、「外側からくっつく汚れ」がある。「汚れは皮膚への刺激になり、炎症を起こすなどトラブルの種になります」(小林氏)。
かゆみの元になるNG習慣【2】濡れっぱなし

「濡れっぱなし」は、(1)長時間の水仕事や、頻繁な入浴、水泳などで、体が濡れている時間が多いこと、(2)体が汗や水で濡れたときによく拭かないこと――によって、皮膚表面の角質層がふやけてしまう状態だ。化粧水のつけすぎも、角質層をふやけさせる原因になる。角質層がふやけると、角質の間に隙間ができ、角質層に蓄えられた保湿成分(細胞間脂質〔セラミド〕や天然保湿因子)が溶けだして、保水力を維持できなくなってしまうのだ。
かゆみの元になるNG習慣【3】こすれっぱなし

「こすれっぱなし」は、下着、衣服、ベルト、アクセサリーなどで皮膚が繰り返しこすれてしまう状態。同じ部位に摩擦を受け続けることで、皮膚が傷ついてしまう。
この3つの「ぱなし」が、皮膚のバリア機能を低下させ、かゆみを誘発する元凶というわけだ。
それでは、具体的にどのような生活習慣が、3つの“ぱなし”につながるのか、現代人にありがちな例を挙げていこう。