血管を若返らせる「パワーウォーキング」 その2大ポイントとは?
第3回 ストレッチも血管を柔らかくするのに効果あり
田中美香=医療ジャーナリスト
健康寿命を延ばすために日々の運動は不可欠。適度な運動は、血管や心臓にいい効果を及ぼす。では、具体的にどんな運動をすればいいのだろうか。一般に健康のための運動といえば、ウォーキングやジョギングが代表格。すでに実践している人も少なくないだろう。しかし、心臓外科医・南和友先生は、「ただ闇雲に運動すればいいわけではない」と話す。ただテクテク歩くだけでは効果がないし、激しすぎても心臓の負担を高めてしまう。今回は、血管を若返らせる運動のポイントを南先生に聞いていく。
本特集ではこれまで、「血管を若く保てるかどうか」が、体の若さを保ち、これから先の健康寿命をどれだけ延ばせるかに大きく影響することをお伝えしてきた。そして、生活習慣の改善により、何歳になっても血管を若返らせることは可能だ。40代、50代などの働き盛りはもちろん、60代、70代になっても血管は若返る。
そのために必要なのが、「食生活の改善」と「運動」という2本柱だ。今回は、前回に引き続き、ドイツのボッフム大学永代教授で、冠心会大崎病院東京ハートセンター顧問の南和友先生に、血管力を高める運動について聞いていく(食生活については第2回をご参照ください)。
運動をすれば、心臓も血管も鍛えられる!

健康寿命を延ばすために日々の運動は不可欠――。食事だけでなく、日々の運動も大切ということは、多くの方が認識されていると思う。最近では、ロコモティブシンドローム(ロコモ*1)という言葉も認知されるようになり、要介護のリスクを避けるためにも「運動しなければ!」という意識がミドル、シニア層の中で高まっている。
運動は、血管や心臓などの循環器系の若さを保つために極めて重要だ。南先生は、「血流をつかさどる心臓が規則正しく動くようにケアすることで、血管力も高まります。その柱となるのが『運動』です」と話す。「運動をすれば、脈拍量が増え、血管も筋肉に血液を送ろうとするので心臓も血管も鍛えられます。酸素の豊富な血液(動脈血)が手足の筋肉に送られます。そして酸素の消費された血液(静脈血)はミルキング作用(*2)で末梢から心臓へと送り返されます」(南先生)
*2 ふくらはぎの筋肉が収縮と弛緩を繰り返すことでポンプ機能を果たし、脚の血液を心臓へと押し戻す。この働きが牛の乳搾りと似ているためにミルキングと呼ばれている。