突然死の前兆は? リスクを減らす8カ条
第3回 「休めば治まる胸痛」でも放置は危険!
田中美香=医療ジャーナリスト
突然死は、その名の通り、いつどこで誰に起きても不思議ではない。しかし、「突然のことなら対策の立てようがない」と諦めて放置するのは早計だ。突然死が起こりやすい条件や要因を知り、そのリスクを少しでも減らせば、突然死を避けて通れる可能性もあるからだ。今回は、早めの受診につなげて命を守るための、「突然死の前兆」についてまとめた。
第1回
第2回
第3回
突然死の前兆は? リスクを減らす8カ条
第4回
第1回、第2回では、突然死の多くを占める「心臓突然死」が、心臓の血管(冠動脈)を詰まらせる心筋梗塞や狭心症から起こりやすいことを解説してきた。心臓突然死は突然発生するだけに、症状に気づくと同時に気を失い、帰らぬ人となってしまうこともある。その前兆を察知することはできないのだろうか。
日常生活に支障が出るほどの強烈な痛みなど、明らかな異常が出れば、誰だってすぐに病院へ行くだろう。問題は、軽い症状で済んでしまう場合。胸に少し違和感がある程度の軽い症状なら、「気のせいかもしれない」「この程度で病院に行かなくてもいいだろう」と、つい受診を先延ばしにしてしまう人も多いのではないだろうか。
「たとえ軽い症状であっても、もしかすると心臓突然死が忍び寄っている前兆かもしれません。異変に気づいたときは、すぐに治まったとしても病院に行くことが大切です」。そう勧めるのは、長年にわたり突然死に向き合ってきた循環器専門医、三田村秀雄さん(国家公務員共済組合連合会立川病院病院長)だ。突然死のプロフェッショナルが早期の受診を勧める理由とは、一体何だろうか。
すぐに治まる胸痛も、心臓突然死の恐れあり
三田村さんによると、心臓突然死のもととなる心筋梗塞・狭心症には、典型的な症状があるという。それは「胸痛」と呼ばれる、胸の痛みだ(図1)。