さらばメタボ! 諸悪の根源「内臓脂肪」を有酸素運動で燃焼
第2回 中野ジェームズ修一直伝! 侮れない「踏み台昇降運動」
松尾直俊=フィットネスライター
運動は健康にいいと頭で分かっていても、時間がない、何をすればいいのか分からないなどの理由から先送りしてしまう人も多い。『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(日経BP社)を上梓するフィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さんと、慶應義塾大学医学部スポーツ医学総合センターの医師、田畑尚吾さんに、忙しくても続けられ、高い効果が期待できる運動のやり方を指導してもらおう。今回はメタボリックシンドローム対策について。
メタボ健診に引っかかった人は運動すべき?

医師に「運動しましょう」と言われてもなかなか行動に移せない人のために効率のよい運動について解説するこの特集。前回は血糖値が高めで気になる人、糖尿病予備群の人のために、血糖値を下げる5分間エクササイズを紹介した。
今回は、前回と同様に健康診断などで医師から「運動しましょう」と言われる代表格である「メタボリックシンドローム」についてだ。
メタボリックシンドローム、通称メタボは、健康診断で測定する腹囲が「男性85㎝以上、女性90㎝以上」という条件ばかりが注目されてしまうが、実はそれだけではない。腹囲に加え、次の3つのうち、2つ以上が当てはまると初めてメタボと診断される。
- 中性脂肪値150㎎/dL以上か、HDL(善玉)コレステロール値40㎎/dL未満
- 血圧が上は130㎜Hg以上か、下が85㎜Hg以上
- 空腹時血糖値110㎎/dL以上
「メタボは『内臓脂肪症候群』とも呼ばれています。食べ過ぎや栄養が偏った食事、そして運動不足などが原因となって内臓脂肪がたまり、それが脂質異常(中性脂肪やコレステロールの異常)、高血圧、高血糖など、将来の脳卒中や心臓病につながる病態を引き起こしてしまうのです」と慶應義塾大学医学部スポーツ医学総合センターの医師、田畑尚吾さんは解説する。
このようにやっかいな内臓脂肪がなぜ、たまってしまうのだろうか。内臓脂肪には、余ったエネルギーを一時的に蓄積するという役目がある。つまり、食事で摂取したエネルギーよりも、体が消費したエネルギーのほうが少ないと、内臓脂肪が増えていってしまうのだ。

運動不足の人は内臓脂肪がたまりやすい。厚生労働省が発表した2016年の「国民健康・栄養調査」によると、日常生活で運動する習慣がある人の割合は、男性で23.9%、女性で19%だった(20~64歳)。特に30代が最も低く、男性18.4%、女性は9.8%という結果になった。思いのほか多くの人が、メタボの“予備群”になっている可能性があるのだ。
また、人間の体は、年齢とともに「基礎代謝」が低くなっていく。基礎代謝とは、何もせずにじっとしていても、生命活動を維持するために体の中で使われているエネルギーのことだ。それが減少していくのに加え、世の中が便利になったことで歩いたり階段を上ったりという、生活の中で体を動かす活動が少なくなってくると、ますますメタボになってしまう危険が増えていくというわけだ。