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「スマートリィ・エイジングEXPO」レポート

「布団に入ったらバタンキュー」は健康の証ではなかった!

第1回 脳と体の疲れがとれる「本当の睡眠術」

 伊藤和弘=フリーランスライター

 「早寝」とは、眠れそうもない時間に眠ろうとすること。つまり、夜の8時や9時からベッドに入ってしまうことだ。特に高齢者の場合、疲れを感じやすいので必要以上に早く寝ようとする人が多い。しかし、「70代の人でも一般に午後11時くらいにならないと体が眠る準備は整いません」と三島さん。せっかく早くベッドに入っても、寝つけずに苦しい思いをすることになる。眠気を感じないうちは寝室に行かないようにしよう。

 次の「長寝」は早寝にも通じるが、眠れないままベッドの上で長時間過ごすこと。「横になっているだけでも体は休まるというのはウソ。寝床で横になっているのに眠れなくて悶々とする、という経験を繰り返すうちに、寝室に行くと緊張して目が冴えるという条件反応ができてしまい、不眠が悪化するケースが多いのです」と三島さんは話す。眠れなければいったん寝室を出て、リビングルームで読書でもして眠くなるのを待とう。「不眠に悩む人は、寝室以外の場所ではむしろすんなり眠れる傾向があります。これは、『寝ないといけない』という緊張がないからです」(三島さん)。

 前にも触れたように、長時間の「昼寝」は夜の睡眠に悪影響を与える。「長い昼寝はその3倍に当たる夜の眠気を取るといわれます」と三島さん。不眠症の人に限って、昼に寝ていることが多い。睡眠不足なら短時間の昼寝はいいが、不眠症の人に昼寝は禁物だ。

[画像のクリックで拡大表示]

「睡眠薬を飲み続けると認知症になる」という説は本当か?

 不眠症で診察を受けると睡眠薬を処方されることが多い。ベンゾジアゼピン系という分類に属する睡眠薬を使っていると認知症になりやすくなるという説もあるが、まだ明確な結論は出ていない。ちなみにフランスで70歳以上の高齢者を対象に行われた調査によると、睡眠薬を服用しない人たちは6年後に3.2%が認知症を発症したのに対し、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬を服用した人たちは4.8%が発症したという(BMJ. 2012 ;345:e6231)。約1.5倍リスクが高まったことになるが、「それよりも不眠症を放置する方が認知症のリスクはずっと高くなります。必要であれば睡眠薬は使うべき。過剰な心配はいりません。また最近ではベンゾジアゼピン系以外の睡眠薬も登場しています」と三島さんはアドバイスする。

 「年齢とともに睡眠時間(実際に眠れる時間)は減少します。日中に不調を感じなければ、睡眠時間は短くても問題ありません。年を取れば夜中に目が覚めることも普通です。『朝までぐっすり8時間眠る』など、高いハードルを作らずに、ほどほどに眠れれば十分、と考えるようにしてください」(三島さん)

(写真撮影:花井智子、図表作成:増田真一)

三島和夫(みしま かずお)さん
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所睡眠・覚醒障害研究部長
三島和夫(みしま かずお)さん 1963年生まれ。秋田大学医学部卒業。同医学部精神科学講座助教授、米スタンフォード大学医学部睡眠研究センター客員准教授などを経て、2006年より現職。日本睡眠学会理事。日本時間生物学会理事。著書に『やってはいけない眠り方』(青春新書プレイブックス)、監修書に『疲れをとるなら帰りの電車で寝るのをやめなさい』(日経BP社)など。

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