ただ歯を磨くだけではダメ! 本当に効く歯周ケアのポイント
第4回 歯間ブラシにフロス…歯周病予防に使うべきはどれ?
田中美香=医療ジャーナリスト
脳卒中や心筋梗塞など、命に関わる大病の発症リスクを減らすには、口の中の手入れ、「歯周ケア」が欠かせない。歯周ケアを徹底するなら、歯科医院でプロフェッショナルのケアを受けるのはもちろんのこと、自宅で日々行うセルフケアも大切だ。意外と知らない歯周ケアの基本や意外な盲点について、鶴見大学歯学部探索歯学講座教授の花田信弘さんに教えていただこう。
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ただ歯を磨くだけではダメ! 本当に効く歯周ケアのポイント
ウォーキングや筋トレで健康寿命を延ばそうと、体力作りに励む人が増えている。平均寿命が延びた今、「自分の足でいつまでも歩き続けたい」「寝たきりは回避したい」と切望するのは当然の流れだろう。
同じように、ぜひ日常生活に取り入れてほしいのが、口の中の健康寿命を延ばす対策、「歯周ケア」だ。われわれが歯を失う一番の原因は歯周病であり、自分の歯で噛んで食事を味わうため、さらには歯に関わる全身の病気のリスクを減らすためにも、歯周ケアは欠かせないのだ。
だが、ドラッグストアには、電動ブラシとハンドブラシ、歯間ブラシにデンタルフロス、歯磨き剤…と、さまざまな製品が並び、どれを選んでどう使えばいいのか迷ってしまう人も多いだろう。口の中の悪玉菌を追い出す上で効果的なオーラルケア製品の選び方や使い方、自宅で行う歯周ケアのポイントについて、鶴見大学歯学部探索歯学講座教授の花田信弘さんに聞いていこう。
起床後の歯磨きは、朝のマスト習慣にしよう
子どものころから、「歯磨きは1日3回、食事の後に」と教えられてきた人が多いのではないだろうか。歯磨きのタイミングについて、現在では「寝る前にしっかり」「いや、起床時こそしっかり」と諸説ある。これについて花田さんは、「どの説も間違いではありません」と話す。毎食後しっかり磨ければいいが、出先ではサッサと済ませることもあるため、1日のどこかでしっかり磨く時間を作ることが大切だという。避けるべきは、いい加減な歯磨きだけで1日を終えないことだ。
ただし、1日の中でも、起床時にしっかり磨くことには特に意義がある。就寝中は唾液が分泌されないため、唾液による抵抗力がなくなり、寝ている間に口の中のバクテリアが増殖してしまうからだ。そのため、起床後は、朝食の前にいったん歯磨きをする習慣をつけるのがお勧めだ。朝食の味が変わらないよう、歯磨き剤をつけない「カラ磨き」で、ざっと口腔内の雑菌を落とすといいだろう。
最初の2分は電動歯ブラシで磨き、バイオフィルムを除去
手で磨くか、電動歯ブラシで磨くかについてはどうか。花田さんは、最初の2分は電動歯ブラシで磨き、その後にハンドブラシで隅々まで磨くことを勧める。
「電動歯ブラシを先に使うのは、口内細菌の塊である『バイオフィルム』を除去するには、手磨きよりはるかに優れているからです。高速の細かい振動によって、細かい汚れやバイオフィルムを効果的に除去してくれます。ただし、振動によって歯磨き剤に含まれるフッ素をまき散らすので、フッ素を広げるにはハンドブラシが適しています」(花田さん)
いうまでもないが、歯ブラシは適宜取り換えることも大切だ。毛先が開いたブラシでは歯と歯の隙間まで届かないので、毛先が傷んできたら惜しまず交換しよう。
