夏につきものの悩みといえば、大量の汗と「匂い」だろう。夏は薄着になることもあって、他の人の体臭が気になるシーンが増える。通勤電車などで“におう”人の近くにあたってしまうとつらい。一方で、自分の匂いを気にする人も増えている。最近では中高年以上の「加齢臭」の認知が広まり、加齢臭は嫌な匂いの代表例となった。自分の加齢臭で周りに迷惑をかけているのでは…と気にする人も多いだろう。
このように、昨今、厄介者扱いされがちな匂いだが、実は匂いには重要な効果、役割もある。その一例として、高齢者が匂いを感じなくなってきたら、それは認知症の初期症状の可能性があるという。さらに、嗅覚の有無が死亡率とも関係するという研究結果があるというのだから、これは聞き捨てならない。そこで今回の記事では、人間が匂いを感じるメカニズムから、匂いや認知症の関係などを、匂いのプロフェッショナル・東京大学大学院農学生命科学研究科教授の東原和成さんに聞いていく。
東京大学大学院農学生命科学研究科教授
JST ERATO 「東原化学感覚シグナルプロジェクト」研究統括
