水分補給、そのやり方で大丈夫? 大量発汗時は「水中毒」にも注意!
第3回 まだまだ知りたい! 脱水予防Q&A
梅方久仁子=ライター
熱中症だけではなく、脳梗塞や心筋梗塞、肺炎などを引き起こし、めまい、頭痛、食欲不振から認知機能の低下まで招く脱水症。そんな脱水症と、その一歩手前の「かくれ脱水」を予防するには、日頃の上手な水分補給がカギとなる。しかし、水分補給の方法は意外に誤解が多い。「かくれ脱水」に詳しい済生会横浜市東部病院患者支援センター長兼栄養部部長の谷口英喜氏に、水分補給にまつわる疑問をQ&A形式で解消していただこう。
Q
経口補水液とスポーツドリンクはどう違うの?
A
経口補水液の方が塩分濃度が高く、脱水症に素早く効きます
脱水状態の解消には、水分と塩分の両方が必要だ。経口補水液とスポーツドリンクは、水分と塩分の両方を含む飲料という点では同じだが、含まれる成分、濃度、目的が異なっている。
経口補水液は、医療現場での脱水症治療のために開発された飲料で、 “飲む点滴” とも呼ばれている。このことからも分かるように、経口補水液の成分は、脱水症から素早く回復できるように、その組成の目安が決められている。
例えば、電解質の1つであるナトリウムイオンとブドウ糖の割合。経口補水液では、ナトリウムイオンのモル濃度に対して、ブドウ糖のモル濃度は1~2倍程度が目安とされている。このバランスが、最も小腸での吸収が速く、効果も高いのだ。スポーツドリンクに比べて塩分が多いため、脱水状態ではないときに飲むと、塩味を強めに感じるのが特徴だ。「このモル濃度の比率は変えられないので、元気な時に飲むと、正直なところあまりおいしくはないですね(苦笑)。でも、脱水症のときに飲むと、体が塩分を欲しているためおいしく感じるのです」(谷口氏)。
一方、スポーツドリンクは、汗とともに失われた水分や塩分を補給したり、ブドウ糖、アミノ酸などの栄養を補給して疲労回復を促すための飲料だ。製品によって成分や濃度が大きく異なるが、口当たりを良くするために、経口補水液に比べるとナトリウムイオンの濃度は低め。その分、水分、塩分の吸収力や吸収速度は経口補水液に比べると低くなる(※水やお茶よりは高い)。
「スポーツで汗をかいたときの脱水予防や、『かくれ脱水』をゆっくり回復させるときなら、スポーツドリンクを利用してもよいでしょう。ただ、経口補水液に比べると吸収には時間がかかります。また、脱水時にスポーツドリンクを大量に飲み続けると、水だけを飲むときに比べて進行は遅いものの、低ナトリウム血症を発症する恐れがあります。急性の脱水症などで緊急に水分補給が必要なときには、経口補水液を飲んでください」と谷口氏は勧める。
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